ユーザー企業やITベンダーといった派遣先から、派遣SEが雇用終了(雇い止め)になるケースが増えている。いわゆる「2018年問題」だ。理由は、2015年9月の派遣法改正で、派遣期間の上限が3年で統一されたから。3年を超えると直接雇用の義務を負う可能性がある。さらにIT業界では、2018年9月に暫定期間が切れる特定派遣の廃止の影響も大きい。プロジェクト体制や組織運営などシステム開発現場の対策は必須である。

 労働者派遣法(派遣法)が改正・施行されてから3年が経った。一般派遣社員が雇い止めされる「2018年問題」による訴訟が起きるなど、改正派遣法の影響は社会問題になりつつある。

 多くのITエンジニアが派遣形態で働くシステム開発現場にも影響が出ている。SEやプログラマなど専門職の派遣を対象にしていた特定労働者派遣事業(特定派遣)経過措置が、2018年9月に終了するからだ。

 特定派遣は届け出制だったため、多くのITベンダーが顧客の要望に応じて特定派遣事業を行い、ITエンジニアをシステム開発現場に派遣していた。しかし2018年9月29日以降、特定派遣は利用できなくなる。特定派遣を行っていたITベンダーは、契約の変更といった何らかの措置を講じる必要が出てくる。

M&Aできずに廃業する小規模事業者も

 特定派遣を行っていたITベンダーの中には、ITエンジニアの派遣を継続するための準備を進めていた企業も多い。その1社が中堅ITベンダーのクレスコだ。同社は特定派遣事業から、労働者派遣事業(一般派遣)への切り替えを2017年4月に行った。準備期間は半年程度。「売上高に占める特定派遣事業の割合は低いが、経過措置の終了間際は混乱すると思い、早めに準備を進めた」と同社の米﨑道明 広報IR推進室長は話す。

 届け出のみで派遣事業が行えた特定派遣とは異なり、労働者派遣事業は許可制になるので事業者の負担が増える。資本金などの資産要件や、事業所の面積、また派遣元の講習の受講などが義務付けられている。

 クレスコの2018年3月期の連結売上高は333億円。資産要件や面積要件などは「問題なく整えられた」(米﨑室長)。最も手間がかかったのは、事務手続きだったという。顧客と結ぶ契約書類の書き換え、関連する行政機関への相談や手続きなどに時間をかけた。

 ITエンジニアの派遣事業を継続しようとする大手から中堅のITベンダーは、クレスコのように一般派遣事業への切り替えが進んでいる。しかしITエンジニアが数人しか所属しない小規模の特定派遣事業者は、「切り替えをあきらめて、派遣以外の事業を模索したり、廃業したりするケースも多い」と、小規模ITベンダー向けのM&A(合併・買収)サービスを手がけるコンサルティング会社の担当者は話す。

 M&Aサービスは、資産や面積要件を1社では満たすことができない小規模な特定派遣企業同士をマッチングし、合併などの方法で派遣事業の継続を目指すものだ。しかしこのコンサルティング会社の担当者は、「サービスを提供しているものの成立はなかなか難しい」と打ち明ける。派遣事業の継続が難しいと判断した小規模な特定派遣事業者は、派遣事業を止めて準委任契約や請負契約でのシステム開発に移行したり、場合によっては廃業したりしているという。

 特定派遣の経過措置の終了に加え、2018年問題の発端となった「派遣社員が同一の組織で3年以上勤務する場合には、派遣先企業への正社員への転換や派遣元が無期雇用社員として雇う」という雇用安定化に向けた施策も、システム開発現場に影響を与えている。「これまでずっと同一職場で働いていたベテランのITエンジニアを交代せざるを得ないケースがある」と中堅ITベンダーの担当者は打ち明ける。

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