日本の素形材産業にはたくさんの匠の技術、強みがある。ところが、それらの技術は世の中に広く流通しておらず、「知る人ぞ知る」といった状況にある。だが、それが伝わるべき人に伝わればどうだろう。きっと、思いもよらない使い方が生まれるに違いない。

 では、どうすれば「この会社の技術を使いたい」「この会社とビジネスをしたい」と考える素形材産業メーカーをたくさん生み出せるだろうか。

 最も大事なことは、自らの持つ技術を広く発信すること。技術を伝えるべき相手としては、技術購買といった部門はもちろんだが、製品の企画やデザインを考える部門に着目したい。異業種のメーカーも魅力的だ(守秘義務が緩くなる)。そうした人たちに技術の使い途が伝わると、新たな刺激となり、これまでの発想と異なる全く新しい製品が生まれる可能性が広がる。

 その際に何より重要なのは、相手が理解しやすい表現で伝えること。相手に響かなければ、自社の技術が選ばれる可能性は低くなる。

「Color」「Material」「Finish」で技術をプロデュース

図1:FEEL GOOD CREATION 玉井美由紀社長
CMF(Color,Material,Finish)の日本の第一人者。なおCMFはFGCの登録商標である。
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 そうした匠の技術の流通における構造的な課題を解決しようとしている小さなデザイン事務所がある。「CMF」というコンセプトを通じて、モノづくり企業の発信力、提案力を高めているFEEL GOOD CREATION(FGC、本社東京)だ。CMFとはモノの表面を構成する3つの要素「Color」(色)、「Material」(素材)、「Finish」(仕上げ)の頭文字。美しさ、品質向上、表面保護、コンセプト表現、機能性向上など様々な力を持つものと言える。

 FGCの玉井美由紀社長は、「人の五感の中で80%以上を占めるのは視覚からの情報。人は常にCMFから多くの情報を得て、予測したり記憶したりしている。従ってCMFを活用すれば、身の回りの全てのモノの魅力を高められる」と語る(図1)。日常の小さなワクワクや満足感を、CMFを通じて生み出し、生活を豊かにする。毎日使う家具や道具、身に付けるものや生活空間における価値の基準に、「機能」だけでなく+αの価値である「感性」を加えるのがCMFなのだ。

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