世界で初めて「セルロースナノファイバー(CNF)」を利用したランニングシューズ――。アシックスはスポーツ工学研究所(神戸市)で材料開発などを進め、CNFを利用したランニングシューズ「GEL-KAYANO 25」を生み出した。

 CNFを適用したパーツは、後足部周辺の「ミッドソール・ボトム」である。星光PMCが「京都プロセス」で製造するCNF強化樹脂「STARCEL」を、アシックスが発泡して造った。2018年6月1日にGEL-KAYANO 25を発売した。

 アシックスがGEL-KAYANO 25のミッドソール・ボトムに適用したのは、ポリオレフィン系樹脂をベースにした発泡材料「FlyteFoam Lyte」である(図1)。星光PMCが製造するCNFを含んだ樹脂STARCELを発泡成形した。FlyteFoam Lyteは、アシックスが使用する一般的な材料と比較すると55%ほど軽量になるとともに、シューズで利用するのに必要な耐久性も維持できたという。

図1 「GEL-KAYANO 25」
GEL-KAYANOシリーズは長距離ランニング用途のモデル。特にGEL-KAYANO 25は過度なプロネーションの負荷を軽減するシューズだ。プロネーションとは、人が走行時にかかとを内側に倒して衝撃を吸収する動作で、以下の3つに分類できる。身体的な負荷が少ないもの、足底の傾きがほとんどないもの、過度に足首を傾けるものだ。
[画像のクリックで拡大表示]

 ミッドソールとは、中底と靴底の中間に存在するクッション材のこと。GEL-KAYANO 25に搭載しているミッドソールは着地時に受けた力を、地面をけり出す際の足に返す上層部「ミッドソール・トップ」と、着地時に走者の膝・腰の負担を軽減する下層部のミッドソール・ボトムで構成されている(図2)。ミッドソール・トップは走者に地面からの力を返すために高反発性が求められるのに対し、ミッドソール・ボトムは着地時にかかる力などを受け止める耐久性が必要となる。CNFを使えば軽量性と耐久性を両立できるため、ミッドソール・ボトムに適用された。

図2 ミッドソール
ミッドソールとは、中底と靴底の中間に存在するクッション材のこと。GEL-KAYANO 25に搭載しているミッドソールは、足型の青いパーツ「ミッドソール・トップ」、黒いパーツ「ミッドソール・ボトム」で構成されている。ミッドソール上にある円状の水色のパーツと橙色のパーツは「ゲル」と呼ばれる。走り心地やクッション性の向上などに役立つ。
[画像のクリックで拡大表示]

この先は有料会員の登録が必要です。有料会員(月額プラン)は初月無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら