植物由来の新材料として話題の「セルロースナノファイバー(CNF)」。水面下で実用化に向けた開発が急ピッチで進んでいる。CNFが備える変幻自在の特性から、意外な機能を引き出す開発が行われているのも特徴の1つだ。これまで、CNFは単体では強度がそれほど高くないと言われてきた。強化材として樹脂に混ぜてCNF強化樹脂にするのはそのためだ。ところが、構造材として使える強度を持つ100%CNFで出来た歯車が登場した。

図1 CNFだけで造った歯車
強度を要する構造材から成る部品として製作した。
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 100%のセルロースナノファイバー(CNF)で強度を要する材料、すなわち構造材を造る開発を進めているのが、モリマシナリー(岡山県赤磐市)だ。実は、CNFは単体では強度が低く、構造材としては使えないというのがこれまでの「常識」だった。構造材としての開発の主流は、CNFを強化材に使うCNF強化樹脂となっている。この常識を覆すべく、同社が開発したのが100%CNFで造った歯車である(図13)。

図2 100%CNF製歯車を使った羽ばたき機械
異なる大きさの歯車を組み合わせた。羽根を上下に羽ばたかせる。
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図3 歯車のかみ合わせ部分
何十時間の単位で歯車を回しても欠けや割れが生じていないという。
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 100%CNF製の歯車は、直径が60mm程度で厚さが20mm、歯数は28。質量は60gと、鋼製歯車の350gと比べて、実に8割を超える軽量化を実現している(図4)。それでいて、高機能な樹脂であるエンジニアリングプラスチックを超えるスーパーエンジニアリングプラスチック(スーパーエンプラ)並みの特性を誇る。

 具体的には、曲げ強さが114MPa(メガパスカル)で、剛性の指標となる曲げ弾性率は1万1042MPaだ。スーパーエンプラの代表格であるポリエーテルエーテルケトン(PEEK)と比べると、曲げ強さは3/4程度まで迫り、曲げ弾性率については2倍を超える。おまけに、表面硬度も高い。ショア硬さは80程度と、焼き入れを施したモリブデン鋼に匹敵する硬さだ。比重は1.5で、これもPEEKの1.3に近い。

図4 100%CNF製歯車(左)と鋼製歯車(右)
100%CNF製歯車の質量は60gであるのに対し、鋼製歯車のそれは350g。軽量化効果は実に8割を超える。
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