植物由来の材料「セルロースナノファイバー(CNF)」を利用する上で、大きな課題となるのがコストだ。CNF強化樹脂を効率的に生産する手法「京都プロセス」の開発によって、材料の低コスト化が進んでいるものの、まだ安価とは言えない。そんな中、パナソニックが京都プロセスなどのCNF関連技術を参考に、普及するのに十分なほどコストを抑えた「セルロースファイバー樹脂」を開発。家電製品の量産品に採用し、2018年8月30日に発売する。

図1 コードレススティック掃除機「Power Cordless」
掃除機の本体部品にセルロースファイバー樹脂を利用した。
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 パナソニックがコードレススティック掃除機「Power Cordless」に、セルロースファイバー樹脂を採用した(図1)。nmオーダーからμmオーダーのセルロース繊維をポリプロピレン(PP)に混ぜた複合材料である。「セルロースファイバー樹脂に含まれる繊維の中央値の長さがミクロンサイズであったため、CNFではなく、セルロースファイバーという名称にした」(パナソニックの社内カンパニーであるアプライアンス社ランドリー・クリーナー事業部クリーナー設計課主任技師の堀部勇氏)。

 セルロースファイバー樹脂を利用したのは、掃除機の本体部品である(図2)。モーターや電池を保持している部品など6部品を、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)樹脂からセルロースファイバー樹脂に置き換えた。射出成形で製造している。材料の強度が向上したため、内部部品をハニカム構造にして軽さを追求した。ABS樹脂と同等の強度を保持しつつ、比重値で約10%軽量化した。

 軽量化を進めた要因が、モーターと電池にある。掃除機は手に持って利用する製品であるため、質量の少しの違いがユーザーの負担につながる。加えてコードレス掃除機の場合は手元部分にモーターや電池などの部品が集中するため、質量の影響を大きく受けてしまう。一方、吸引力を高めたり、使用時間を伸ばしたりと性能を向上すると、モーターと電池の質量が増えてしまう。そこで、材料をABS樹脂から変更して軽量化を目指すことになった。

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図2 セルロースファイバー樹脂を用いた部品の一部
コードレススティック掃除機で、セルロースファイバー樹脂を利用している部品の一部。計6部品をABS樹脂から置き換えた。

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