植物由来の新材料として話題の「セルロースナノファイバー(CNF)」。実用化に向けた開発が急ピッチで進んでいる。中でも、市場規模が大きいと見込まれるのが自動車分野だ。軽くて強いというCNFの最大の特性を存分に生かせる。ガラス繊維などの代わりにCNFを樹脂に混ぜたCNF強化樹脂を構造材に使えば、比重が小さくなるため軽くなる。自動車に求められる厳しい基準をクリアすることで、他分野への応用も見えてくるという利点もある。

 これが木材原料から造ったクルマのボディーだ──。環境省の「NCV(ナノセルロース自動車)プロジェクト」が、「CNF製スポーツカー86」を開発した。トヨタ自動車の小型スポーツカー「86」の鋼を主体とするボディーを、可能な限りCNFを使った部品(CNF製部品)に置き換えたコンセプトカーである(図1)。

 早速、このCNF製スポーツカー86の技術の全貌を見ていこう。86を含めて自動車向けに開発されたCNF製部品には、フロントフードやトランクフード、トランクフードロア、ルーフサイドレール、シートバック、インテークマニホールド、ドアトリム、発泡めっきを施したエンジンカバー、エンジンカバーなどがある。このうち、インテークマニホールド以降については既に日経 xTECHで紹介している(関連記事)。ここでは、2018年6月に新たに披露されたCNF製部品に絞って技術の詳細を解説しよう。

図1 自動車向けに開発されたCNF製部品
大物部品から発泡成形、めっき、射出成形など幅広い加工技術が開発されている。「NEW」の文字を記したのが、NCVプロジェクトの2017年度の成果発表で公開されたCNF製部品。フロントフードとトランクリッドなどはトヨタ自動車の86にそのまま搭載されている。
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