苦しい思いをされたのですね。

 そうですね。女性は難しいな、と思います。結婚や妊娠のようなライフイベントと、仕事の転機が重なったときにどうするのか。でも今では、お互いのために良い選択をしたと思っています。

心機一転、移られたのはどんな会社ですか。

 次に入社したのは、大手サービス業です。前職と同じ大企業でしたが、今度はボトムアップ型で、現場の声を大事にしてくれる会社でした。社員が自分の強みや個性を生かして働いていて、私にとってはものすごく新鮮でした。各自が自分の裁量で、働きやすいように働ける環境でした。

 この会社では、私もとても楽しく仕事ができました。あの出来事が起こるまでは……。

自分を守るために他人を蹴落とす

「あの出来事」とは?

 会社の不祥事です。当時は大きなニュースになって、広報部門にいた私は対応に追われました。大変でしたが、それ自体は広報担当の大事な仕事ですし、腹をくくって頑張りました。

 それよりもつらかったのは、社内の人間関係の悪化です。不祥事を契機にリストラが始まったのですが、そこで人間の本性がむき出しになるのを目の当たりにしました。

 それまで仲良く仕事をしていた同僚が、自分のポジションを守るために他人を蹴落とそうとする。不本意な異動をさせられた上司から、八つ当たりされたこともありました。どんどん殺伐としていくオフィスの中で、「人間は結局、自分がかわいいんだ」と思い知りました。

 こうした経験を経て、「大企業はもういいや」という思いが強くなりました。

その後、ベンチャー企業に移られたのですね。

 はい。IT系のベンチャー企業を2社経験して、数カ月前に3社目である今の会社に移りました。

 私にとって、ベンチャー企業は仕事のストレスが少ない環境です。経営陣や他部署のメンバーとの距離が近く、意志決定も早い。スピード感があって、仕事が最短距離で進められるところが良いですね。

6回の転職を重ねて、見えてきたことはありますか。

 「直感を大事にする」ことの大切さでしょうか。この会社は何かおかしいな、と感じたら、自分の直感を信じて外に出るのはアリだと思います。

 その会社に合わなくても、ほかに自分に合う会社はあるはずです。3年勤めてみて、「おかしい」という気持ちが変わらなかったら、辞めてもいいのではないかと考えています。