転職は、人生における大きな決断の一つである。人はどんなときに、会社を辞める決心をするのか。そして、次の職場をどのように探しているのか。今回は、製造業やIT企業で広報畑を歩む江上怜香さん(仮名)の転職に迫る。

今回の転職者:江上怜香さん(仮名)
経歴:1970年代生まれ。大学卒業後、中央省庁で社会人としてのスタートを切る。その後、大手製造業やサービス業などを経て、IT系企業に転職。一貫して広報・IR関連の業務を担当する。
転職のきっかけ:スピード感を持って仕事をしたかった。
(出所:123RF)
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どんなお仕事をしていますか。

 IT系のベンチャー企業で、広報を担当しています。これまでに6回転職していますが、いずれも広報やIRを手掛けてきました。

6回とは多いですね。

 はい。まさか自分が、こんなに多く転職することになるとは思っていませんでした。

 社会人のスタートは、「安定」の象徴とされる公務員です。国家公務員試験を受けて、中央省庁に入りました。結局公務員は2年ほどで辞めて民間企業に移ったのですが、省庁時代に広報関係の仕事を担当したことがきっかけで、広報畑を歩むことになりました。

どうして公務員を辞めたのでしょう。

 自分の専門分野が作れなかった、というのが1つの原因です。「私はこれに強い人間だ」という分野を作りたかったのですが、公務員は数年ごとに異動があって難しそうだ、と分かりました。いろいろな手続きや調整が煩雑で、物事が進むスピードが遅いのもストレスでした。

 “より良くする”ことが求められなかったというのも大きな理由です。異動までの任期をつつがなくこなせば誰からも文句は言われない。だから多くの人は、これまでと同じことを、同じようにやろうとしていました。何かを変えよう、今よりも良くしようという動きが見られませんでした。

 私は実家が裕福ではなくて、大学には奨学金をもらいながら通いました。公務員になったのは、生まれにかかわらず、チャンスが平等にめぐってくる社会にしたいという思いからでした。でも実際はそうした動き方ができなかった。それで、民間に移ろうと決めました。

どのように転職先を探しましたか。

 Webなどで求人情報を探しました。そこで見つけた大手製造業の広報・IR担当の求人に応募して、入社が決まりました。

求めていた場所に出合えた

初の民間企業。官庁とは違いましたか?

 全く違いました。スピード感があるし、みんな「より良くしよう」という意志を持って仕事をしていました。「求めていた場所がここにあった!」と思いました。

 仕事は大変でした。海外売上比率が高かったので、IRには英文会計の知識が必須。専門学校に通って、必死で勉強しました。ハードでしたが、広報やIRは経営に近いし、会社全体を見渡せるので、とてもやりがいを感じていました。