家族は反対しませんでしたか。

 妻は特に何も。会社で不祥事が起こったときは大変そうだと感じていたようですが。家族では、母があまりいい顔をしていなかったです。不祥事が嫌で辞めたと思ったみたいで。最後まで勤め上げるべき、というようなことを言われました。最終的には分かってくれましたけど。

言い出しにくい状況で同僚が辞めます宣言

そこからスムーズに会社を移れたんですか。

 実はそこが大変でした。転職活動をしていたのが9月。次の会社からは「いつから来られますか」と言われてたんですが、どのタイミングで会社に伝えるか悩んでいました。

 というのも10月から組織再編が始まることが分かっていたからです。部署の人数が少ないので、1人当たりの役割が多く責任は重くなります。再編後の自分の役割が固まってからだと職場に迷惑がかかるのは明らかなんですが、大事な時期に「辞める」とは伝えにくくて……。

辞めるに辞められない。

 ええ。そんなとき、部署で同僚が「辞めます」と言い出したんです。これはいいタイミングだと「すみません、僕も辞めます」と言ってしまいました(笑)。

 思いとどまるように説得されましたね。課長や部長に。やりたいことがあって外へ出る(転職する)くらいなら、似たようなことができるグループ会社に行くのはどうか、という提案もありましたが、それは断りました。

結局、辞めた。

 そうです。でも、ぎりぎりまで働いてましたよ。

 普段は作業しやすい格好でしたけど最後の日くらいはと思ってスーツを着てました。でも、部署で作っていた製品を検証してほしいと言われて。スーツを着て大型機械に潜り込んで、チェックしてましたね。「これ見たところで責任持てないんだけどなー」とか思いながら。結局、最終出社日は、フロアの最終退出者でした。

転職して生活は変わりましたか。

 通勤時間はほとんど同じだったので、生活はあまり変わらなかったです。給料は下げるつもりはなく、思惑通りに上がりました。

仕事の内容は思っていた通りでしたか。

 そうですね。業務内容は前の会社とは丸っきり変わりましたけど、研究や先行開発に携わりたい、という思いは叶っています。役職が上がって、部下もいます。面接する立場にもなりました。

 でも社風は前の会社の方が好きでした。前は「この人と一緒にやろう」という思いを持てましたけど、今のチームだとそこまで強い思いはないです。前の会社が嫌で転職したわけではないですからね。当時の人たちとは、今でも仲良くしていますよ。

面接する立場になってみて、欲しい人材像というのは何かありますか。

 エンジニアの場合、その人がそれまで手がけていた専門性と新しく始める業務の技術的なマッチングはあまり関係ないと思います。今が旬の技術も、数年で廃れるかもしれない。臨機応変な人がいいですね。

 仕事のやり方が変わったときに、それになじむ期間の短さでその人が臨機応変なタイプかどうかは分かります。そうじゃない人は大変です。私はこれしかできません、やりません、ちょっと今までとずれただけで答えを出せない、そういう人は採ろうとは思いません。