会社が起こした不祥事で未来が閉ざされた気がした

では、なぜ辞めたんでしょうか。

 きっかけは会社が起こした不祥事です。大きな社会問題になりました。職場に警察も来ました。周囲から「あの人はあの会社に勤めている」と言われて厳しい目で見られた同僚もいたようです。

世間の目がキツかった。

 自分自身は特に何も言われなかったし、いろいろと報道された中には実態と全然違う内容もあったりして、不祥事そのものでやる気がなくなった、ということはないです。それよりも不祥事が起こったことで、この先、新しい技術や製品の研究や先行開発ができなくなる、凍結される、と感じたんです。会社の雰囲気がそうでした。

研究や開発でなくても、製造関連の企業には、生産管理や顧客サポート、いろいろな業務があります。

 でも自分は研究やそれに近い業務がやりたかったんです。不祥事後は会社の中で物事の優先順位が変わって、研究や開発に力を注げなくなる。異動も期待できない。そのあたりを考えました。

それですぐに転職活動を始めた。

 結果的にはそうなりますが、最初はそれほど積極的ではなく、自分の市場価値はどれくらいか知りたい、くらいの気持ちでした。

 そのとき33歳。製造系の転職では35歳までが限界という話を当時は耳にしていたのでタイミングも考えました。そこで転職サイトに登録しました。

氷河期世代の人員が不足、引き合いの強さに驚いた

反応はどうでした。

 引き合いの強さに驚きました。登録してすぐに同業他社のほぼ全部から返事が来ました。自分が大学院で就職活動をしていたときは「超氷河期」だったので、企業にはその世代の人材が少ない。そこを埋めたいという意図も各社にあったんだと思います。

 こんなに来るんだったらイケるかも、と思って最初に案内が来た会社の説明会に行きました。それが今の会社です。

前の会社と同じく、今の会社も誰もが知る大企業です。でも、1社目ですぐに決めるとは思い切りましたね。

 実は学生時代に就職活動をしていたときの第1希望だったので(笑)。あと、説明会に行ってからの展開があっという間だったためでもあります。

 説明会は、午前は研究、先行開発、営業といった部署から2つを選んで話を聞いて、午後はそのうちの1つで話をじっくり聞く、というスタイルでした。その後すぐに、話を聞いた部署の2人と人事1人で1次面接です。それが通って、次の週には2次面接でした。2次面接はほとんど雑談しかしていなかった記憶があります。

それだけで合格ですか。

 そうです。たまたま家族で集まっていた日に「合格です」と連絡が来ました。転職活動は短かったですよ。自分が動いていた時間は全部合わせても1日半くらい。全体でも2週間くらいで終わったことになります。