転職は、人生における大きな決断の一つである。人はどんなときに、会社を辞める決心をするのか。そして、次の職場をどのように探しているのか。実際に転職を経験した人に、本音を明かしてもらう。今回は、製造業で研究や開発を担当する山森直紀さん(仮名)の転職に迫る。

今回の転職者:山森直紀さん(仮名)

経歴:1970年代生まれ。都内の大学で機械系を専攻する。大学院卒業後、誰もが名前を知る製造業大手に就職し、部品の設計などを手がける。同業他社に転職後は、研究や開発の業務を担当している。

転職のきっかけ:会社が起こした不祥事

(出所:123RF)

製造関係の大手企業から、同業種へ転職とのこと。最初の会社に入った理由は。

 大学と大学院では専攻が機械系でした。その専攻を生かせる企業に学校推薦で入りました。第1希望ではなかったんですが、不満はありませんでした。

 最初の会社ではどんな仕事をしていたんですか。

 大型機械を構成する部品を設計する部署に配属されました。機械の稼働の安全に大きく影響する部品です。転職するまでずっと同じことをしていましたね。入った当初は転職なんて全然考えてませんでした。

部署の居心地はどうでしたか。

 やるべきことの多さの割には人が少なかったと思います。

 研究職と似たような仕事から将来の製品を見据えた先行開発、設計して図面を作って、できた部品を現物の機械に取り付けて不具合を確認して。機械を導入した顧客の声を聞いて対応したりとか。

 転職したから今なら分かりますけど、その部署は人が少なくて分業が進んでいなくて、部員全員が1人で何人分もの仕事をしていました。

それはつらそうです。

 いえ、その分、力(スキル)は付くし、いろんなことを経験できるし、自分の狙い通りでした。しんどいときもありましたけど、楽しかったです。人間関係は本当に良かったです。企業風土はとても自分に合っていました。

忙しいながらも充実していた。では、給料や待遇に不満があった。

 それほど不満は感じませんでした。確かに給料は業界の中では良くなかったんじゃないかな。昇給も低かったです。仕事が重なって休めないことはありましたけど、「休むな」という圧力は全然なかったです。