転職は、人生における大きな決断の一つである。人はどんなときに、会社を辞める決心をするのか。そして、次の職場をどのように探しているのか。実際に転職を経験した人に、本音を明かしてもらう。

 今回は、IT企業で人事業務などを担当する石野有実さん(仮名)の転職に迫る。

今回の転職者:石野有実さん(仮名)
経歴:1980年代生まれ。大学卒業後、IT系ベンチャー企業に入社。人事部門で採用業務を担当する。その後、人材紹介会社、大手IT企業を経て、再度IT系ベンチャー企業で人事や広報などを担っている。
転職のきっかけ:業務量が多すぎて転職、次は暇すぎて転職
(出所:123RF)

どんなお仕事をしていますか。

 東京都内にあるIT系のベンチャー企業に勤務しています。今の会社には1年半ほど前に入社して、当初は人材採用を担当していました。最近は、広報も兼務しています。

現職までに、何度か転職されているそうですね。

 はい。これまでに3度の転職を経験しています。基本的に、どの職場でも人材にまつわる仕事をしてきました。

 新卒で入社したのは、IT系のベンチャー企業です。大学は経営学部で、同級生の多くは銀行や商社など堅い会社を志望していました。でも私は、ITの道を選びました。就職活動中に参加したセミナーであるIT企業の社長の話を聞いて、「ITはこれからの世の中を変える」と強く思ったからです。

 IT企業を対象に就職活動する中で出合ったのが、株式上場を間近に控えたセキュリティ会社でした。自分もそこに加わって、会社が成長していく局面を見たい。上場の準備にも携わりたい。そう思って、入社を決めました。

不安定な環境に、あえて飛び込んだわけですね。

 そうですね。父の影響が大きいと思います。父は大きな組織に入るよりも自由を好む人で、自ら起業して小さなメーカーを経営しています。そんな気質を受け継いでいるのかもしれません。

ベンチャー企業に入社して、いかがでしたか。

 入社早々任されたのは、人事と総務の担当でした。会社が急成長するタイミングでとにかく人手が足りず、頼れる先輩もほとんどいない。そんな中で、新卒なのに年上の人の採用面接をするなど、試行錯誤の連続でした。大変でしたが、とても良い経験だったと思います。

 入社から3年ほど経つと、バックオフィスの業務だけでなく、営業のように事業の現場経験を積みたいという思いが強くなりました。人事の仕事自体は好きだったので、人材営業をやってみたいと。当時の所属企業では経営陣にもよくしていただいていたので迷ったのですが、人材紹介会社に転職してキャリアカウンセラーになると決めました。

異業種への転職ですね。

 はい。ただ、実は転職先は、前の職場で人材採用を委託していた会社だったので、よく知っていました。それに、キャリアカウンセラーとして担当したのもWebやEC(電子商取引)、ゲームなどIT関連の業界が主でした。ですから一応、土地勘はありました。

 でも、実際に仕事を始めてみたら、思いのほかつらかったんです。