今回は、まだ事業化されていない新技術について、IPランドスケープを使って主要プレイヤーとその事業展開の方向性を予測する手法を紹介したい。例として取り上げるのは、シリコン太陽電池に代わる次世代太陽電池として注目を集めるペロブスカイト太陽電池だ。

ペロブスカイト太陽電池とは

 IoT(Internet of Things)の進展とともに、太陽電池の需要は拡大が見込まれる。しかしながら、現在主流のシリコン素材の太陽電池は、発電のために一定の照度(明るさ)を必要とするし、設置する場所の制約も多い。価格の高さもあり、コスト削減要請と相まってシリコン素材以外の太陽電池の開発が望まれていた。

図1●ペロブスカイト太陽電池の特徴
(出所:正林国際特許商標事務所)
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 これらを解決する新しい太陽電池として期待されるのが、ペロブスカイト太陽電池だ。ペロブスカイト太陽電池は、光を吸収する材料にペロブスカイト結晶構造を持つ化合物を使った太陽電池である。有機系・色素増感太陽電池の一種だが、その結晶構造から、生成された電子の自由度がシリコン系太陽電池並みに高く、高変換効率実現が可能だ。

 さらに、ペロブスカイト太陽電池が脚光を浴びているのは、有機系・色素増感太陽電池の特徴である、次の2つが理由だ。[1]原材料価格や製造コストの大幅削減が可能、[2]設置場所の制約が少ない、である。課題だった変換効率も20%台半ばと、シリコン系太陽電池と遜色のない水準にまで改善してきている。

正林 真之 氏
正林国際特許商標事務所 所長・弁理士、国際パテント・マネタイザー

 ところが現在、高変換率を達成しているペロブスカイト太陽電池には大きな問題がある。それは、ペロブスカイト結晶構造を持つ化合物に鉛を使うことだ。鉛は有害物質で、厳密に管理された環境下しか使用が認められていない。そのため、屋内外で広く個人や企業が利用することができない。また、昨今のESG(環境・社会・ガバナンス)の考え方から、鉛を材料とする事業の資金調達も難しい。

 世界的に鉛を使わない材料での高変換効率や高耐久性を目指した素材開発が行われており、錫(すず)を原料としたものの研究が先行している。しかし、いまだに鉛との変換効率の違いが大きく、決定的な素材とはなっていない。ただ、世界的な研究開発が進められており、鉛フリーかつ高変換効率を実現する素材が確立すれば、需要は大幅に拡大するだろう。

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