正林 真之 氏
正林国際特許商標事務所 所長・弁理士、国際パテント・マネタイザー

 後発企業にとって、厳しい競争の中、事業を拡大させていくことは容易ではない。技術革新の速いハイテク部門であればなおさらである。ところが、ホームベンダーであるアイリスオーヤマは、2010年にLED照明事業に参入後、事業の拡大に成功。2018年には出荷台数でトップとなった。こうした事業戦略の分析にも、「IPランドスケープ」は適切な示唆を与えてくれる。

LEDを取り巻く環境

 低電力消費、長寿命が売り物のLED電球。2011年の東日本大震災以降、省エネ意識の高まりや電力料金の上昇などで需要は急増したが、国内出荷高は2014年の496億円をピークに減少に転じ、2017年には350億円を下回った(図1)。海外からの低価格品に押されて平均単価も過去5年間で年率4%低下を続け、1,542円にまで低下している(図2)。販売店でも価格低下が進み、出荷価格は今後も下落が続くと見られる。その結果、研究開発予算を維持するのが困難となり、特許出願は年々減少している。基本技術の開発がおおむね終了したこともあり、LED電球に係る国内特許出願はピークを過ぎたといえる。

図1●電球型LEDランプ出荷状況
(出所:経済産業省機械統計)
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図2●電球型LEDランプ平均価格推移
(出所:経済産業省機械統計)
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 一方で、LED照明器具の出荷は伸びている(図3)。こちらは電球とは異なり、省電力志向の高まりによる法人向けの直管LEDランプの伸びなどが牽引。2014年に急成長した後も引き続き市場拡大が続いており、出荷額は約7000億円に達している。今後も環境意識の高まりなどから節電や長寿命のLED照明器具は、順次旧来の照明器具(白熱電灯や蛍光灯)に取って代わると考えられ、安定的な成長を続けるであろう。LED照明器具の平均単価はLED電球と比べて約7倍と高く、マージンを確保しやすい。その上、単価の下落も年平均2%程度と、技術革新により対応可能なレベルにとどまっている(図4)。

図3●LED器具出荷状況
(出所:経済産業省機械統計)
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図4●LED器具平均価格推移
(出所:経済産業省機械統計)
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