正林 真之 氏
正林国際特許商標事務所 所長・弁理士、国際パテント・マネタイザー

 前回、スタートアップ企業との提携について概説した。今回は、実際にスタートアップ企業との提携を検討する際に、活用し得る「IPランドスケープ」の事例の一部を簡単に紹介しよう。

 近年は各種イベントやアクセラレータープログラムなどにおいて、各種のスタートアップ企業が発表されているが、選べるのは応募企業に限定される。スタートアップ企業を集めたデータベースもいくつか存在するが、多くのスタートアップ企業が存在するときは、どこと提携するのがよいのかについて、結局は悩んでしまう。ここに、IPランドスケープが使える──。前回はここまで述べた。

 自社が、例えば「Fintech」の技術やアイデアを「不動産」の分野で活用しているスタートアップ企業を探しているとしよう。スタートアップ企業を集めたあるデータベースで「fintech 不動産」といったキーワードで検索すると、約30件の企業が抽出された。なお、「Fintech」のキーワードだけの場合は423件の企業が抽出されたが、今回は分かりやすさのために、より絞り込んだ母集団としている。

 この抽出情報には、各スタートアップ企業のファイナンスやラウンドデータ、ビジネス概要などの情報も含まれている。しかし、各スタートアップ企業が何を強みとしているのかを「客観的に」比較して把握することは必ずしも容易ではない。こうしたときに、特許情報を使ったIPランドスケープを活用できる。

 この約30件のスタートアップ企業のうち、「Fintech」分野に関係していると思われる特許を出願している企業は、図1に示す8社だった(特許分類で利用されるIPCまたはFIのコードで「G06」の分野)。

 また、この各スタートアップ企業の時系列での特許出願の傾向を見ると、近年特許出願を行っているカンム(本社東京)とエコノミックインデックス(本社東京)、ボルテックス(本社東京)、クラウドリアルティ(本社東京)が、この分野の事業により積極的であると考えられる。

図1●出願人*出願年の件数推移マップ
(出所:正林国際特許商標事務所)
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