「これが見たくて日本に来たんだ!素晴らしい、アメージングだよ!」――。米国から観光で訪れた30代の男性は、記者のインタビューに対して興奮気味に話した。彼が訪日した目的は、食事でも買い物でもない。アニメ「機動戦士ガンダム」シリーズに登場する機体を再現した「実物大ユニコーンガンダム立像」を一目見ようと、はるばる米国からやってきた。日本政府は訪日外国人数を「2020年に4000万人、2030年に6000万人」に増やすことを目標に掲げる。同立像がインバウンド需要を引き込む新たな“技術遺産”に成長しつつある。

「実物大ユニコーンガンダム立像」前から(撮影:日経 xTECH、以下同)
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立像、横から
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 同立像は東京都の台場エリア近郊の「ダイバーシティ東京プラザ内フェスティバル広場」に立つ。全高はビル7階分に相当する19.7m。質量は49tで、劇中に登場する機体の設定質量23.7tに比べて約2倍の重さ。2017年9月にお披露目した同立像は、2009年7月にアニメ放映30周年を記念して建造した“ファーストガンダム”の立像に続く2代目となる。先代同様、アニメ制作会社のサンライズが中心となって企画し、空間・施設デザインの乃村工藝社が立像の制作を手掛けた。

230個の部品を組み立てる

乃村工藝社クリエイティブセンターNOCプロデューサーの川原正毅氏
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 「基本的な構造や組み立て方法は、ガンダムのプラモデル(通称:ガンプラ)に近い」――。立像の制作を指揮した乃村工藝社クリエイティブセンターNOCプロデューサーの川原正毅氏はこう語る。

 部品点数は大小合わせて約230個で、「ガンプラに比べて部品割が大きい」(川原氏)という。外装部品はガラス繊維強化樹脂(GFRP)製。クルマのバンパーなどに用いる一般的な材料であるが、強度を高めるために蜂の巣状の「ハニカム構造」で造った下地材を組み込み、それをGFRPで覆うように成形している。型は木製である。

 部品は大きく上半身と下半身の二つのグループに分けている。上半身の部品は東京近郊の工場で、下半身の部品はタイ・バンコクの工場で成形した。先代のファーストガンダム立像は、全身の部品をタイで造り込んだが、ユニコーンガンダム立像は、上半身に可動部や電装部品などを多く備えるため、技術力が高く高品質を得やすい国内工場を選定したという。下半身の部品は寸法が大きくなるため、規模の大きいタイ工場で造ることにした。

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