130年にわたる自動車産業の歴史を集めた――。トヨタ自動車が創立50周年を記念して1989年に設立したトヨタ博物館(愛知県長久手市)。新旧約150台の車両を展示し、開館から20年近く経過する今でも人気は衰えない。ひとたび館内に入れば、いまも輝く名車の数々が顔を見せる。「激動」の時代をたどって日本の基幹産業となった自動車。その変遷を振り返る。

トヨタ博物館(撮影:日経 xTECH、以下同)
[画像のクリックで拡大表示]
トヨタ博物館の内部
[画像のクリックで拡大表示]

 トヨタ博物館の敷地面積は4万6700m2で、本館と新館の二つから成る。建築面積は本館が4800m2、新館が2700m2。延べ床面積は本館が1万1000m2、新館が8250m2である。130年分の歴史を大きく二つの展示領域に分けている。

 本館2階では、1800年代の終盤から1950年代までの「自動車の黎明期から日本車の誕生」をテーマにしている。そして、同3階には、1950年代から現代までの「モータリゼーションの進展と多様化」をテーマに車両を取りそろえた。それを計12個のゾーン(領域)に分ける。時代の特徴と合わせて紹介する仕組みだ。主要となる展示コーナーは2~3年の周期で車両を入れ替える。

 1階で受付を済ませてエスカレーターで2階にあがる。最初のゾーンでお目見えするのは、初期のパワートレーンの変遷だ。蒸気機関車や電気自動車(EV)を経て、ガソリン車がパワトレの主流になった。蒸気機関のエネルギー変換効率や、EVの航続距離などの課題をクリアしたことが、ガソリン車が発展した大きな理由だ。世界初のガソリン車が登場したのは1886年のこと。ドイツ・ダイムラー(Daimler)が開発した「Benz Patent Motorwagen」という名称の3輪車だ。棒状のハンドルで動かして操舵し、最高15km/hの速度で走行できたという。

Daimler「Benz Patent Motorwagen」
[画像のクリックで拡大表示]
「国産吉田式“タクリ―号”」(模型)
[画像のクリックで拡大表示]

 このころ日本では、欧米の技術を参考にして日本人技術者が「国産吉田式“タクリ―号”」を開発した。車両が世に出たのは1907年のこと。輸入したガソリンエンジンを分解し、構造と仕組みを理解した。複雑な構造を持つシリンダーブロックを、当時の鋳造技術や算術、「からくり」のメカニズムを駆使して再現した。エンジンの排気量は約1.8Lで、最高出力は9kWとしている。

この先は有料会員の登録が必要です。有料会員(月額プラン)は初月無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら