読書(よみかき)発電所は、電力王・福沢桃介が木曽川に建設した発電所群の1つ。20世紀初頭、関西の工業化の進展を支えた。建築家・佐藤四郎の手になる装飾が施された白い建屋は、山深い渓谷に刻印された近代の象徴だ。

木曽川越しに見る読書発電所の外観(撮影:大村 拓也)
[画像のクリックで拡大表示]
読書発電所の内部。発電機の保守のために吹き抜けの大空間とされている(撮影:三上 美絵)
[画像のクリックで拡大表示]

 1910年代から30年代にかけて、日本の工業の動力源は、それまでの人力や蒸気から電力へと大きくシフトした。増大する需要は従来の石炭火力では賄い切れず、大規模な水力発電の開発に期待がかかった。

 こうした時流に乗り、急峻で水量豊富な木曽川の可能性に目をつけたのが、福沢諭吉の娘婿で、後に「電力王」と呼ばれる福沢桃介だ。

関西電力東海支社コミュニケーション統括グループの青柳俊幸氏(撮影:三上 美絵)
[画像のクリックで拡大表示]

 桃介は、1つの水系は1社が計画的に開発すべきとする「一河川一会社主義」を掲げ、木曽川に次々と発電所を建設していく。しかし、計画中の発電所も併せ、総出力12万kW強に及ぶ大量の電力は、流域の中部地方だけでは消費しきれない。そこで発送電会社3社を合併して大同電力(現在の関西電力)を興し、電力不足に悩んでいた関西地方へ向けて、約240㎞の距離の送電を計画する。

 現在、同発電所を管理する関西電力東海支社コミュニケーション統括グループの青柳俊幸氏は「高圧での長距離送電には高度な技術が必要。これを実現させたのは、当時として画期的だった」と説明する。

発電機の保守に使うスパナ類(撮影:三上 美絵)
[画像のクリックで拡大表示]

この先は有料会員の登録が必要です。有料会員(月額プラン)は申し込み初月無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら