青森県弘前市出身で、考現学の提唱によって知られる今和次郎(1888~1973年)が設計したとされる施設の1つが、山形県新庄市に残る。福島県田村市の旧大越(おおごえ)娯楽場と並ぶ、希少な現存建築だ。傾斜角50度の急勾配の木造トラス屋根や、内部には明るい小屋裏を持つ。

旧雪調(せっちょう)庁舎の2階小屋裏。展示室ではないため、小屋裏の見学には問い合わせが必要(撮影:日経 xTECH)
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旧雪調庁舎の妻面。左奥が「雪の里情報館」の本館に相当する棟(撮影:日経 xTECH)
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 そこは、農民の生活を困窮させる大雪を単なる自然の猛威と諦めずに科学的、経済的な研究対象として世に問い、「雪害」という概念を確立した雪国の拠点だった。

 1933年、農林省積雪地方農村経済調査所(略称・雪調( せっちょう ))として開設。建築学の今和次郎以外に、農業経済学、低温物理学、また民芸研究家の柳宗悦など各界の第一人者が集結し、疲弊した農村の立て直しに様々な角度からアプローチした。副業や農村工業による救済も重要な研究対象で、構内には、木工・金工、醸造などの施設も立ち並んでいた。

展示資料(撮影:日経 xTECH)
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展示資料。「雪国試験農家家屋」に関しては、同館が模型を所蔵。現在は、東京・六本木の森美術館で開催している「建築の日本展」で展示中(撮影:日経 xTECH)
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 住宅改善を担った今和次郎は、農民を屋根雪処理から解放し、その時間を別の賃金労働に回せるようにするため、実験農家プロジェクトに従事(建物は現存せず)。これは後に、高床式の克雪住宅に受け継がれていった。

旧雪調庁舎の北西側外観(撮影:日経 xTECH)
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旧雪調庁舎の北西側開口部(撮影:日経 xTECH)
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