愛媛県南西部を流れる肱川では、西日本豪雨で上流の野村ダムが緊急放流を実施し、西予市で広範囲にわたる浸水被害が発生した。その下流にある鹿野川ダムでも緊急放流し、大洲市で大規模な氾濫が起こった。ダムを管理する国土交通省は規則に従った放流だと主張するが、果たしてそれは適切な対応だったのか。

 規則通りに放流したと主張する国土交通省に対し、流域住民の間からは批判の声も出ている。万一ダムが決壊すれば被害は桁違いなので、緊急放流がやむを得なかったことは間違いない。ただ、もう少し被害を軽減するような放流の仕方はなかったのか――。こんな疑問を抱いている人は多い。

 いくら規則に忠実に従って放流しても、その規則自体が現状に即した最適なものでなかったら、適切に対応したとは言えない。

7月7日の肱川流域の浸水状況
(資料:国土交通省)
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 ダムの操作規則では、それぞれの地域の河川整備状況や関係機関との協議などを踏まえて放流パターンを定めている。実は、鹿野川ダムと野村ダムは共に、中小規模の洪水による被害の軽減に重点を置いた規則を採用しているのだ。現行の規則を制定したのは1996年で、それ以前は大規模な洪水を想定していた。

7月7日に、大洲市東大洲の暫定堤防(計画高水位に対応した高さや断面を持たない堤防)で越流した様子。大洲市内の同様の堤防7カ所全てで越流した(写真:国土交通省)
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大洲市大川地区では大成橋が流された(写真:日経コンストラクション)
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