7月6日夜に大規模な土石流が発生し、10人以上の死者が出ている広島県坂町小屋浦地区。広島湾に面する人口約1800人の小さな集落だ。同地区を襲った土石流は上流の砂防堰堤を粉々に破壊し、市街地をのみ込んだ。記者は7月14日午前8時すぎ、被害の状況を取材すべく現地に入った。
呉市との境に位置する坂町小屋浦地区は、広島呉道路(クレアライン)や国道31号、JR呉線の寸断で支援の手が届きづらくなり、一時「陸の孤島」になった。7月11日夜に国道31号が通行を再開したことで、ようやく本格的な復旧が始まったが、記者が訪れた7月14日時点ではまだまだ手付かずの状態だった。
広島県は天地川の砂防堰堤が決壊したと発表していた。そこで、国道31号をJR小屋浦駅付近で降り、土石流が下った天地川に沿って集落の被害を撮影しながら、上流の砂防堰堤を歩いて目指すことにした。距離にして1.2km、高低差は50mほどの行程だ。
まだ午前8時だというのにひどい暑さ。歩き始めてすぐのところで、小屋浦小学校の前にある天地橋が落橋していた。給水などが行われている小屋浦ふれあいセンターを越えてしばらくは、苦もなく道路上を歩けるが、竹を手にした鬼が住民を叩いて回る奇祭で有名な「小屋浦新宮社」まで来ると様相は一変。天地川とその周囲には巨石や流木が転がり、住宅は1m以上も白っぽい土砂に埋もれてしまっていた。
この辺りから、傾斜は緩いにもかかわらず、急に歩きにくくなる。砂浜を歩いているような感覚といえば分かりやすいだろうか。
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