私は大学生の頃、同じコンピュータークラブの先輩に憧れて、将来は一流のITエンジニアになりたいと思っていました。

 なぜ、ITエンジニアを志望していたのかと思い返せば、NECの「PC98」や「Linux」のコマンドを打ちまくって知らないソフトウエアをどんどん動かす先輩を格好良く感じました。また、当時はソフトウエアの開発ができると、大学生でも非常に好待遇のアルバイトがたくさんあり、まさに「稼げる仕事」だったことも大きな理由です。

 そのため、2000年に就職活動をする際には「絶対にソフトウエアエンジニアになりたい」と、ソフトエンジニアとして働ける企業を探していました。そこで、「ソフトウエア」という名前が付いている会社に入ればハードウエアの部署に配属されることはないだろうという、自分でも笑ってしまうような理由で、当時一部上場したばかりで非常に人気の高かったNECソフトに入社しました。

 それから、19年が経過しようとしていますが、日本のITエンジニアに対する学生たちの評価は大きく変わったように感じます。

 ITエンジニアは、いわゆる「新3K」と呼ばれ、「きつい」「帰れない」「給料が安い」という、なりたくない職業としての地歩を固めつつあります。私は個人的にそれが我慢ならず、ITエンジニアを世の中にもっと広く知ってもらいたいという思いがあります。

AIエンジニアの高待遇はITエンジニアの評価向上につながるか?

 最近、NTTやNECなど日本のIT関連企業が軒並み2000万〜3000万円という非常に高額の年収による新卒採用を始めると言っています。

 はっきり言って、新卒より既存の社員や中途採用にそれくらいの待遇をすればよいのにと思いますが、新卒の社員であっても、能力の高い人材を正当に評価するという点においては、非常に良いことだと思っています。

 人工知能(AI)エンジニアの仕事ができれば好待遇が望める。これは、非常に分かりやすい話でエンジニアにとってはこれ以上にないチャンスです。2000万円には到達しないとしても、AIができるというだけでさまざまな企業に就職・転職できる可能性は大幅に上がります。実際に、私がコンサルタントとして関わっている大企業でも、多くの企業がAIエンジニアの不足を感じています。

 さらに、AIエンジニアを求めるのは、IT企業にとどまりません。自動車や医療、化学製造など、さまざまな業界で今後AIが大きな差異化要因になるのはもう分かっているので、多くの業界がAIエンジニアを求めています。こうした状況なのですから、どのような業務に従事していても、より高い評価や待遇を求める人やITに携わるエンジニアがAIを勉強しない理由はありません。

 もっと言ってしまえば、今後は課長や部長などという役職に関する出世の意味は薄れていくことでしょう。事実、部長よりもAIエンジニアとして新卒採用する人の方の待遇を厚くすると日本の大手IT企業が言い出しているのですから。

 実はAI以外にも身に付けておくことで企業からの評価が上がる分野にセキュリティーがあるのですが、その話はまた別の回で詳しく話しましょう。