受託開発中心のIT企業、ボックスソフトウエア(以下、ボックス社)はビジネスモデルの転換を図るために、アジャイル開発とDevOpsを活用したプロジェクトを始めた。人間ドックサイトのサービス後も、プロジェクトマネジャーの村上らは「広告効果が出ていない」とのクレームへの対応に加え、バッチサイズを小さくして不具合に対応しやすくした。

出典:123RF
●主要人物
村上 龍彦:ボックスソフトウエア プロジェクトマネジャー。丁寧なプロジェクト運営に定評がある
小寺 泉:ボックスソフトウエア ビジネスマネジャー。ビジネスで確実に成果を上げるが、人の気持ちや感情は二の次
須田 洋次郎:アジャイル開発やDevOpsの導入支援に携わるコンサルタント。様々な企業を再生させた実績を持つ
佐藤 正子:ボックスソフトウエア 品質管理部担当。品質に対する嗅覚は鋭く、指摘も的確だがルールに厳しい
清田 彰:ボックスソフトウエア プロジェクトマネジャー。村上と同期で数々のプロジェクトを成功に導いてきた

●DevOpsチームメンバー
一橋 雄介:開発担当。プログラミングは得意だが後先を顧みない
二葉 圭吾:開発チームリーダー。経験豊富だが、口が悪い
三田 里紗:開発担当。チーム唯一の女性で、常に冷静
四谷 勝久:開発担当。早とちりしがちで、自分に今一つ自信を持てない
五反田 雅夫:開発担当。何でもそつなくこなす、頼れる兄貴分
曽根 健:運用担当。思ったことははっきり言う

 煙が充満した焼き鳥屋の中で、村上龍彦は酎ハイをすすっていた。暗い電灯の下でテーブルは長年の煤(すす)で真っ黒に変色していた。広い会場での立食パーティーも悪くないが、この狭い空間の方がずっと落ち着ける。

 村上は店に一人でいるわけではない。開発メンバーの一橋雄介や二葉圭吾、三田里紗、四谷勝久、五反田雅夫の姿が見える。品質管理部の佐藤正子、運用担当の曽根健、さらにかつてはチームの天敵だったビジネスマネジャーの小寺泉もいる。この店で、社運をかけた新サービス開発プロジェクトの打ち上げをしているのだ。

 プロジェクトを立ち上げた時のぎすぎすした雰囲気はまったくない。もはや懐かしささえ覚えるほどだ。曽根も若い開発メンバーにすっかり溶け込み、仲良く話し込んでいる 。

「ビジネスのことをもっと考えてほしいんだけど」

 メンバーが談笑する様子を見ていた村上に佐藤が話しかけた。

佐藤「酎ハイがお好きなんですか?」

村上「本当はビールが飲みたいんだけど、ちょっと尿酸値が上がってしまってね。(おなかの周りを触りつつ)そろそろ何とかしたいのだけど…」

佐藤「プロジェクトは落ち着いて、以前よりも早く帰れるようになりましたよね。もっと運動したらどうですか?」

村上「それがね…1日が終わると、どっと疲れてしまい、早く帰っても運動する気になれないんだ。開発だけでなく、運用までもっとスムーズに進めるにはどうすればいいか、まだ何かやることがあるんじゃないか、などとつい考えてしまう」

 いつの間にか、小寺がそばに来ていた。

小寺「本当は村上さんに、ビジネスのことをもっと考えてほしいんだけど。そうすれば、私も次のプロジェクトを立ち上げやすくなるし」

村上「斬新なビジネスアイデアを考えるのは、これからも小寺さんに任せます…とはいえ、アジャイル開発やDevOpsはビジネスの価値を生み出すのが狙いなのだし、今後はその領域にもより関わっていくのでしょうね。さらに運動どころではなくなりそうだ」

小寺「いつものように須田さんに尋ねてみたら? DevOpsを回しながら健康になれる秘訣はありませんかって。(周囲を見渡して)そういえば須田さん、今日はいらっしゃらないのね」

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