筆者は以前から、人の「集中」に関心がある。仕事柄、原稿を書いたりゲラを読んだりする生活を長年続けており、そうした作業をスムーズかつ正確に実行するには「集中できる時間と場所」がどうしても必要になるからだ。

 集中に興味があるのは筆者だけではないだろう。おそらくほとんどの社会人が集中力を高めたいと真剣に考えている。そんななか、頭に装着するだけで集中状態に入れるというウエアラブル端末の開発計画が、パナソニックから発表された。

 既にプロトタイプ機がある。これは試さないわけにいかない。筆者は早速、体験会場に行ってきた。

 用意されていたのは、奇妙な形をした、首を固定するときに使うコルセットのような機器。ヘッドホンに見えなくもないが、本当にそうなのかは定かでない。とにかくこのウエアラブル端末「WEAR SPACE」を頭に着けるだけで、主にデスクワークに集中できるとのことだ。

「WEAR SPACE」のプロトタイプ機
(出所:パナソニック)
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 筆者はすぐに頭に着けてみた。両耳の位置にはまさしくヘッドホンがあり、それを耳に当てるようにかぶる。すると大きなファブリックのパーティションで顔の左右の視界がかなり狭くなる。周囲にいる人や物、光などが遮られる。

 プロトタイプ機は、水平視野を通常の約60%カットできる設計になっている。具体的には、およそ210度ほどあるという人の水平視野を80~90度まで絞り込める大きさのパーティションだ。かぶってみると想像以上に、パーティションが前方に長く伸びていると感じる。

パーティションは思いのほか大きくて長く、筆者の横顔の大部分が隠れてしまう
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 WEAR SPACEを身に着けると、自分の正面にあるものしかほぼ見えない。パソコンで仕事をするなら、画面しかほとんど目に入らない。この状態を保って、余計な視覚情報を遮断。目の前のものに集中するように自らを仕向ける。

WEAR SPACEを頭に着けてパソコンに向かう筆者。パーティションで周囲は見えず、ヘッドホンのノイズキャンセリング機能で雑音もほとんど聴こえない
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 ヘッドホンはノイズキャンセリング機能を搭載しており、周囲の雑音を打ち消してくれる。ただ、筆者は最初にWEAR SPACEをかぶったとき、ノイズキャンセリングがどの程度効いているのか、よく分からなかった。

 というのも、筆者の隣にはWEAR SPACEの説明員がいて、着け方などを教えてくれる。そのやり取りはヘッドホンをしていても普通にできる。会話の声は遮断されていない。そのため、ノイズキャンセリングを実感しにくかった。

 ともかくWEAR SPACEを着けたまま、パソコンの前に5分ほど座ってみた。体験会場で実際に仕事をしてみる時間はなかったので、どの程度の集中効果があるのか、筆者には正直分からない。ただ、少なくとも「目の前のものに集中する」という目的は、パーティションで周囲との「境界」を作ることで達成できているように感じた。

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