工場や建設現場、鉄道の保線といった公共インフラの保全管理や物流拠点など、多くの現場で労働力不足が大きな問題になっている。とはいえ、現場にとって労働力の新たな確保はハードルが高く、労働効率を高めるしか現実解は見当たらない。そこで鍵となるのは、現場で作業する人同士の「コミュニケーション」だ。

 コミュニケーション手段として最もシンプルなのは音声によるやり取りだが、現場の多くでは騒音がつきもの。騒音環境で作業するため耳栓をしていたり、粉塵対策のための防護マスクを着用していたり、あるいは安全確保のために耳を塞げないなど、一般的なヘッドセットでは使い物にならない。

 このような騒音が激しい現場に向け、イヤホンもマイクも体への振動を使って音を伝える業務用骨伝導ヘッドセットを開発したのがパナソニックだ。骨伝導ヘッドセット本体「XC-CSH00G」とオプションのマイク「XC-CSH30G」を、2018年9月18日に発売する。空気の振動を利用する通常のイヤホンやマイクに比べて、騒音に強いという特徴を持つ。オープン価格だが、ヘッドセットとオプションのマイクを組み合わせて5万円前後(税別)の実売価格を想定する。同社では動線分析システムを請け負ったある企業からの要望から今回の製品の開発に着手し、好評だったため一般への販売に踏み切ることにしたという。

ヘッドセット本体「XC-CSH00G」にオプションのマイク「XC-CSH30G」を組み合わせて着用した様子。耳の前部分にイヤホンが、首の側面部分にマイクが密着した状態になる。マイクは首回りのネックリングで固定している
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 最大の特徴は、オプションのマイク(XC-CSH30G)として “骨伝導”式マイクを用意したこと。厳密には骨伝導ではなく、喉の咽頭の動きを首筋の腱を介してマイクに伝える方式のマイクだ。従来、他社製品で同様に咽頭の振動を拾うタイプのマイクはあったが、喉部分(首正面)に押し付けるタイプは利用者が息苦しくなったり、低周波数の音がこもったりといった課題があった。また、頭頂部に付けて頭蓋骨への振動を拾うタイプは、髪の量が多いと集音性能が下がるとみる。今回のマイクは、首正面の柔らかい部分ではなく、ある程度硬い首筋(首の側面)の腱に取り付けることで、こうした課題を解決しているという。

 基本となる骨伝導ヘッドセット(XC-CSH00G)のイヤホン部分は、一般の骨伝導イヤホンと同様の仕組みを採用している。つまり、耳の手前の頭蓋骨にイヤホンの振動ドライバーを接触させ、骨を介して振動が耳小骨に伝わり、蝸牛(かぎゅう)や三半規管へと伝わって音として認識される。

 今回の製品は業務用の骨伝導イヤホンとしては後発であるため、軽量化や付け心地にこだわったという。左右をつなぐネックアームに形状記憶機能を持つ芯材とケーブル、ゴムカバーの組み合わせを利用するなどの工夫によって、重量を約53gに抑えた。後頭部から支えるネックアームに耳にかけるイヤーフックを組み合わせることで、痛くなりにくいように側圧を抑えつつ安定性を高められたとする。IPX5相当の防水性を持つ。イヤホンのイヤーパッドカバーは交換できる。

 この骨伝導ヘッドセットには標準で指向性マイクが付属しており、オプションの骨伝導マイクがなくてもヘッドセットとして利用できる。標準の指向性マイクは、口元方向(0°)と反対側方向(180°)に集音機構を備え、外からの音をキャンセルすることで1kHzにおいて10dBを実現した。

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