転職を考え始める動機の1つが、職場の人間関係への不満です。職場で目の前に座っている上司が嫌い、同僚と馬が合わない。そんな環境から逃げたいという思いで転職活動を始める人は意外に多くいます。

 嫌いな人と顔を突き合わせる日が続き、精神上つらいというのは理解できます。しかしそれで転職しようというのは、やや短絡的すぎるでしょう。本人にとって得策とは思えません。

 この習慣が付くと、次の会社、また次の会社でも同じ状況に陥った場合、転職を繰り返す可能性があります。結果的にどこにも定着できず、何のスキルも身に付かないことにつながります。

 「とにかく今の上司や同僚から逃げたい」というのが動機なら、転職よりも社内の人事異動を画策した方が早いかもしれません。実際、筆者が企業の人事部門に所属していたときは、「異動したい、したい」と人事に訴えてくる社員がたくさんいました。

 しかしそうした人の多くは、人事異動には手順が大事であることを理解していませんでした。手順を踏まずに異動を訴えられても、ハラスメントなどの事案でない限り、人事部門も現場の管理職を飛び越えていきなり現場に介入するわけにはいきません。

 では、その手順とはどんなものなのでしょうか。まずすべきことは、自社の人事制度を冷静に確認することです。

まずは人事制度を踏まえて動く

 数百人以上の企業であれば2~3年で人事異動があります。その人事異動を待てば、目の前の上司か皆さんのどちらかが高い確率で別の職場に異動します。それまで辛抱できればよいのです。

 とはいえ、大企業でも10年以上、自分が受け入れられない上司の下で働かざるを得ない状況が続くことはあります。そうした場合は不幸な“赤い糸”がつながっていると考え、人事異動を願い出ることになるでしょう。