社内では大した評価を受けていない、あるいは業界内でも特に際立った実績やスキルがない。そんな技術者が、なぜか業界や地域を変えただけで引っ張りだこになる、というケースが意外にあります。

 例えば、ユーザー企業でERP(統合基幹業務システム)の運用を手掛ける技術者です。開発に比べて運用担当者の地位は低く、社内の評価も上がりません。本人も特別なことをしている意識はなく、日々の業務を地味にこなしているケースが多くあります。

 ユーザー企業がERPを効果的に活用できるかは、導入した後が勝負です。ただし現場からは「会社が勝手に入れたERPパッケージの使い勝手が非常に悪い」「メニューが英語ばかりで何のことか全く分からない」などと文句を言われ、運用担当者は精神的にも肉体的にも疲れ切っているようです。

 ところが、ユーザー企業でのERPの運用経験を持つ技術者が、ある分野では引っ張りだこの人材になっています。それが、ITベンダーのERP運用分野のコンサルタントです。

 そもそもITベンダーには「ERP導入の達人」と呼ばれるコンサルタントはたくさんいます。しかし、導入後の運用経験が豊富なプロフェッショナルはほとんどいません。そのため、たとえ社内評価が上がらず地味な運用経験であっても、ユーザー企業での運用経験が、ITベンダーではとても貴重なノウハウとなるのです。

 ユーザー企業の運用担当者が持つ、業務を通じて蓄積した実践的なノウハウには、とても価値があります。ERPの運用サービスを手掛けているITベンダーや、社内での運用に苦戦しているユーザー企業に転職すれば、大活躍できるかもしれません。

 このように、ルーティンに見える業務をこなしている人でも、ちょっと視野を広げて専門性を発見してみると、意外に仕事が見つかる可能性があります。「どこの市場で自分が売れるか」を考えるだけでも、転職活動の苦労が減るのではないでしょうか。