最近、よく目にする新しい転職のキーワードが「顧問」です。技術者にとっては、「技術顧問」が身近でしょう。

 中小企業は、大企業のノウハウを教えてほしい、大企業で経験した一つ上の技術視点でアドバイスが欲しい、といったニーズを抱えています。そこで求められるのが、顧問です。企業と、顧問になりたい人とをマッチングするサービスもあります。

 「顧問」というととても聞こえが良いのですが、実際はどうなのでしょう。ここでは、顧問として契約したにもかかわらず、最終的にはその会社に転職して社員になった佐藤さん(仮名)の顛末をご紹介しましょう。

あこがれの顧問になる

 佐藤さんは現在、50代半ば。50歳のときに、研究職から保守サービスの技術職へと異動になりました。今まで培ってきた経験やスキルをもっと生かせないか、もんもんとしていたところ、Webで「あなたのノウハウを顧問として世の中に!高額報酬!」という記事を読みました。早速問い合わせをして顧問マッチングサービスに登録を済ませると、顧問先の紹介が3社ほどありました。

 一般の転職活動とは違って、顧問先のマッチングは言葉使い一つとってもスマートです。例えば「面接」ではなく、「面談」「お引き合わせ」などと呼びます。「面接」というと応募する側が評価される印象ですが、「面談」という言葉だと「あなたは素晴らしい技術を持った顧問なのですよ」という印象を受けます。受け入れ企業からも、いきなり「先生!」と呼ばれたりします。佐藤さんは、気分良く面談に臨みました。

 マッチングサービスに登録後、2週間で顧問契約を手に入れた佐藤さん。社長からは「月に1度の役員会にアドバイザーとして参加してほしい」と懇願されました。

 顧問報酬は月額30万円。退職後も、この調子で顧問契約を3社取れれば合計で90万円です。月に1日の稼働が3社分、つまり3日働くだけで90万円だったら夢のようです。

 元々佐藤さんは、現職から転職するつもりで転職活動をしていました。しかし、自分では安いと思っていた現職の給与レベルは、中小企業では望めないと分かってきました。そんなところに顧問契約が決まり、顧問業への転身を決断。大学生の子供が2人いて住宅ローンも残っていましたが、早期退職制度による退職金の割増もあり、意気揚々と退職を申し出ました。