企業はもっと会ってくれなくなる

 人材エージェント以上に会いにくくなるのが、企業の採用担当者です。景気が悪化しても、企業は一切の採用を打ち切るわけではありません。例えば早期退職制度を開始した企業が、次の事業を創出するために並行して中途採用を実施するケースもあります。

 ただし、退職者の手前もあるため大々的に募集しません。人減らししているのになぜ採用をするのかといった社内批判もあるため、表立った活動はしにくくなります。

 採用活動にも、効率や精度を求められるようになります。少しでも要件が外れた応募者に会う余裕はなくなるため、転職希望者にとっては応募するチャンスが減ります。

 企業の人事部門で働いていた筆者も経験していますが、景気の良いときは経営層から「どんどん人を採用してほしい」「多少要件に合わなくてもまず採用してから考えよう」と言われていたのに、ある日一転して「余計な人材は採るな」「処遇、採用経費を考慮してそれに見合った人材を」などと無茶ぶりされます。社内からは、「人員削減と並行して採用?」と突き上げをくらうこともあります。人事担当者としては「正直やっていられない」と思うこともありますが、これが現実です。

 こうなると、「良い人がいれば採用する」といった余裕のある面接の場がなくなります。前回紹介しましたが、冷やかしでリクエストされたジャグリングさえできなくなります。

モヤモヤしているならまず動いてみよう

 景気はいつ悪くなるか分かりません。転職を考えてモヤモヤしているなら、躊躇せずにまず応募してみることを筆者はお勧めします。実際に入社するかどうかは、内定が出てから考えてもよいのです。

 早期退職制度に応募し、次の職場を探すために「自分探し」をしている人もいるかもしれません。しかしそれに時間を使うなら、「自分試し」をしてみましょう。実際に求人に応募してみることで自分の価値を理解し、その上で日々研鑽(けんさん)を積むことが有効ではないでしょうか。

天笠 淳
アネックス代表取締役/人事コンサルタント
天笠 淳 早稲田大学商学部卒業後、IT企業、金融機関にて人事業務を経験。株式会社アネックス、一般社団法人次世代人材育成機構の代表として、働きやすい職場づくりを主なテーマとし、企業の人事、人材開発のコンサルタントを行っている。次世代人材育成機構では、代表理事として、学生の就職活動へのアドバイスや、社会人のキャリア支援を20年以上手掛けている。