転職したが実はブラック企業だった。転職にリスクはつきものとはいえ、前の職場の方がよっぽどよかった――。転職後、このように思う技術者は意外に少なくありません。

 ところが実際には、短期での離職は職務経歴上よくないとか、もう少し働かないと分からないから我慢しようなどと考え、結局1~2年も勤務する羽目に。その期間に状況が好転すればよいのですが、そうならない場合、また転職を考えます。そして次の転職先でもまた同じ状況に遭遇する可能性があります。

 そんなとき選択肢の1つになり得るのが、過去に在職した企業への再転職。いわば“出戻り”です。その企業の良いところも分かっていれば、悪いところも分かっている。その上で自分の能力を生かせる場所も具体的にイメージできるのが前職です。転職先として検討する価値は十分にあると筆者は思います。

 実際、多くの企業が出戻り転職を許容しています。エン・ジャパンが2018年4月に発表した「企業の出戻り(再雇用)実態調査2018」の結果によると、一度退職した社員を採用したことがある企業は全体の7割にも上りました。

 退職した社員を「積極的に再雇用したい」と回答した企業が13%、「自社に必要な能力があれば再雇用したい」が69%など、今後の再雇用にも前向きです。即戦力になる、人となりが分かっているなどのメリットがあるからです。

 しかし、出戻り転職を明確に制度化している会社はあまり多くありません。前出の調査でも、制度として設けていると回答した企業は8%にとどまりました。確かに、「退職しても再度受け入れます」と明言すれば、「転職しても戻ってくればいいや」と気楽な気持ちで自社を去る社員が増えないとも限りません。それが在職中の社員のモチベーションに悪影響を及ぼす可能性も考えられます。「転職後数年以内なら出戻りを許す」としている企業も中にはありますが、今後も明文化する傾向はあまり進まないのではないと考えられます。

「出戻りたい」とはっきり伝える

 以上を踏まえると、企業は出戻り採用を実施してはいるものの、明文化されていないケースが多いといえます。出戻りを狙う場合は、自分で決意してアプローチする必要があるのです。

 アプローチ先は、人事部や在職中の上司か同僚になるでしょう。いずれにしても、在職中にどのような働きぶりをしていたかで、受け入れ側の反応も変わってくるのは言うまでもありません。