このところ、IT業界でも「副業」に対する関心が急速に高まっています。筆者のクライアントには50~60代の起業支援をしている会社があるのですが、会社員をしながら別の仕事で月5~10万円くらいの副収入を得たり、退職後に新しいビジネスを始めたりする人が増えています。

 前回取り上げたタカさん(50代、バイヤー)は、副業を10年前から実践しています。専門性を本業以外でも生かして小銭を稼ぎつつ、自身の能力開発にもつなげています。タカさんは技術者ではありませんが、副業による起業という手法の例として、技術者にも参考になる点が多いでしょう。

 今回は、そんなタカさんがこれまでに取り組んだ副業を2つ紹介しましょう。いずれもちょっとした事業を自分で立ち上げた、いわゆる“プチ起業”です。少し変わった事業ですが、副業で自らの能力を高めている好例です。バイヤーの専門性をご自身の専門性に置き換えながら読んでいただければ、皆さんにも参考になるところがあるでしょう。

2つのプチ起業で能力を高める

 タカさんの副業の1つ目は、海外旅行の機会を生かした頒布会です。日本と海外、両方の友人や知り合いに事前に欲しい物を聞いておき、仕入れて売るのです。いわば“御用聞き”のグローバル版です。

 例えば夏休みにタイに個人旅行をするとします。出発前に日本の仲間にタイで欲しい物を聞いて回り、タイの友人には日本で欲しい物を確認します。そして仕入れリストを作成し、タイの友人が欲しがっている物を買って行きます。タイで頒布会を開催してそれを売りつつ、日本の友人が欲しがっている物を仕入れて帰国。日本でも、同様に頒布会を実施します。もちろん輸出入に関する法律や規制を順守した上で、こうした活動をしています。

 周囲の友人が欲しがっている物を自分が代わりに入手することで、交通費相当のお駄賃が得られます。さらに、現地の市場の勉強ができます。本業では取引のない国にも足を運び、問屋を回って交渉する。自分の足で情報を集めるリサーチ力が磨かれ、バイヤーとしての能力をさらに高めています。こうした行動力があるからこそ、50歳を超えても様々な会社から欲しがられる人材になっているのではないかと感じています。