年齢を重ねていて転職回数も多いけれど、すぐに次の就職先が見つかる。前回紹介したAさん以外にも、そうした人は存在します。今回は、EC(電子商取引)業界で働くタカさん(54歳)の事例を取り上げます。

 タカさんの転職回数は10回。Aさんの13回よりは少ないのですが、一般にはかなり多い方です。

 タカさんはバイヤー。職人気質で、マネジメントをするよりも自分の専門性を生かすことに喜びを感じるタイプです。技術者にも通じるところがあるでしょう。

 タカさんと私は10年来のお付き合い。折に触れて、転職や起業などの相談に乗っています。自分の言いたいことだけを言って私のアドバイスを聞かずに帰ってしまうので、真剣に話を聞いている身としては腹立たしいこともあるのですが、なぜか憎めずに応援したくなってしまいます。年齢に関係なく、仕事を通じて自己研さんをしながらきちんと仕事を形にしているからでしょう。

 そんなタカさんが50歳を過ぎても転職できる理由は、情報感度の高さにある。私はそう分析しています。

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 ここでいう情報感度とは、自分の仕事やプライベートに関する情報に常に目を配り、収集できるスキルのことです。タカさんは情報感度が高いが故に、次に何が盛り上がり、何が衰退するかが予測できてしまう。だから転職に成功するのだと私は見ています。

 タカさんは新卒で大手物販企業に入社しました。大手企業でキャリアをスタートした人はその頃の経験が邪魔をして新しい領域に挑戦しにくくなるものですが、タカさんは違います。「iモード」が始まった頃、いち早くネット通販の会社に転職しました。iモード黎明(れいめい)期に10万円の真珠のネックレスを3本売った話は、飲みに行くと武勇伝として何度も聞かされます。

 開始間もないiモードに目を付けたことからも分かるように、タカさんは仕事に関係する情報アップデートを欠かしません。ITについても、ハードやネットインフラ、AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)など、会うたびに新しいキーワードが飛び出します。先日、中国出張からの帰国後に会ったときは、居酒屋で「アリペイ」という言葉を1時間に20回くらい連呼していました。「AWS」を30回ほど聞いたこともありました。

 タカさんは、新しいハードウエアも貪欲に手に入れます。1990年代はVAIOにMac、最新ケータイにPDA(携帯情報端末)と、とことん投資していました。今も最新スマートフォンが出れば、お酒の機会を減らしても購入します。