私たちの生活に欠かせない天気予報は、高度なアルゴリズムを実装したソフトウエアによって支えられている。いったいどんなアルゴリズムなのか。その仕組みを見ていこう。

 天気予報を信じて1枚多く着込んで外出したのに、結局気温が上がって上着が邪魔になるだけだった――。こんな経験はないだろうか。「なぜ天気予報が外れるのか」と、いら立ちを覚えた人がいるかもしれない。

 ところが最近の天気予報は、昔と比べて格段に精度が上がっている。気象庁によると、予測アルゴリズムの改良を続け、天気予報の精度を高めているからだ。実際、気象庁のWebサイトに掲載される過去33年分のデータを見ると、年を追うごとに降水の有無の的中率は向上し、最高気温の予報誤差は小さくなっていることが分かる。

33年間の予報精度(東京地方)
(出所:気象庁)
[画像のクリックで拡大表示]

地球全体を「格子」に区切る

 どんなアルゴリズムを使って精度を高めたのか。気象庁の予報部数値予報課に所属する本田有機数値予報班長によれば、現在の天気予報はまず大気の状態を表す気温、湿度、気圧、風向、風速などの情報を取得し、次にそれらが時間とともにどう変化するかを計算していく。一連の予測手法を「数値予報」と呼び、そのアルゴリズムが大きく進化しているという。予測アルゴリズムを実装したプログラムが「数値予報モデル」だ。

 数値予報の特徴は、地球全体の大気を「格子(メッシュ)」状に区切り、それぞれのマスの単位で大気の状態を把握・予測している点である。これはマスの内側の状態は同一と見なし、計算効率を高めるためだ。地球全体をさらに細かいマスで区切り大気の状態を予測すると膨大な計算量が必要になり、6時間後の大気の状態を予測するのに24時間かかってしまう、といったことになりかねない。

 格子の大きさは、用途に応じて細分化している。例えば普段見聞きする「明日の天気」や「週間天気」で使うのは、地球全体を20キロメートル四方の格子で区切った「全球モデル」である。また、日本周辺を5キロメートル四方で区切った「メソモデル」や、日本周辺を2キロメートル四方で区切った「局地モデル」がある。メソモデルは数時間~1日先の大雨や暴風の予測、局地モデルは数時間先の大雨などの予測に利用している。

全球モデルのイメージ
(出所:気象庁)
[画像のクリックで拡大表示]

この先は有料会員の登録が必要です。有料会員(月額プラン)は登録月無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら