前回から続く)

 まさか本当に使っているとは―。

 中国製ロボット掃除機3台を一通り分解した分解班は、日を改めて、今度は自動運転用の地図の作成に使われていたLiDAR(Light Detection and Ranging)の分解を進めていた。LiDARは測距センサーの一種である。センサー本体からレーザー光を投光し、壁などの対象物に反射して戻る光を検出することで、対象物までの距離を測定する。今回の分解には、LiDARメーカーの技術者に参加してもらった。

 分解に参加した技術者が一様に驚いたのは、中国・小米(シャオミ、Xiaomi)のロボット掃除機「米家掃地机器人」に搭載されていたLiDARの中身が露わになった瞬間だった(図1)。LiDARといえばToF(Time of Flight)法による測距が常識的だが、めったに目にすることがない三角法が使われていることが分かったからだ。LiDARの内部に見つけた細長い測位センサーが三角法の採用を証明していた。

図1 小米の「米家掃地机器人」に搭載されていたLiDAR
LiDARの製造企業は不明。(写真:加藤 康)
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 ここでLiDARとToF法、三角法について簡単に説明する。自動運転車やロボットではToF法のLiDARが一般的に使われている。これは、投光したレーザー光が壁などの対象物に反射して戻るまでの往復飛行時間から、対象物までの距離を算出する方式である。一方、三角法では対象物に当たって反射したレーザー光が受光部のどの位置に届いたかを測位センサーで読み取ることで対象物までの距離を計測する(図2)。測位センサーで検出した反射光の到達位置が、対象物との距離に対応することを利用する。

図2 三角法を応用した測距の仕組みの例
「光源から対象物までの距離」と「光源から受光レンズまでの距離(基線長)」の比は、「受光レンズの焦点深度(受光レンズから測位センサーまでの距離)」と測位センサーの「受光レンズの光軸上の位置から反射光の検出位置までの距離」の比と同じことを利用する。既知である基線長と受光レンズの焦点深度、および測位センサーでの検出結果から、対象物までの距離が求まる。
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 三角法のLiDARの利点は、安価な部品で実現できることだ。ToF法ではレーザー光の往復飛行時間を測る高価なセンサーが必要だが、三角法ではこれを使わずに済む。一方、三角法で使う測位センサーには、プリンター用などの安価な部品をそのまま使える(図3)。

図3 測位センサーを搭載した基板
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