2018年4月に開通30周年を迎えた瀬戸大橋。溶接部の疲労亀裂を探るため、赤外線カメラを積んだロボットが活躍している。赤外線カメラが捉える温度変化で、亀裂だけでなく鋼材に働く応力を推定する非破壊検査技術も出てきた。

 岡山県と香川県を結ぶ瀬戸大橋。その鋼床版の2mほど下に設置したレールの上に、赤外線カメラを積んだ小型のロボットが据え付けられた。鋼床版のデッキプレートとその補強材に当たるUリブの溶接部を撮影しながら、ロボットが滑らかに動き出す──。

 本州四国連絡高速道路会社が、赤外線サーモグラフィーを使って溶接部の疲労亀裂を探る点検中の一幕だ。本四高速は、鋼床版の点検に非破壊技術をいち早く取り入れている。

(イラスト:山田 タクヒロ)
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赤外線カメラを搭載したロボットを遠隔で操作して、鋼床版の溶接部を撮影する。亀裂箇所で温度の差が出やすい3~9月が点検に向く(写真:本州四国連絡高速道路会社)
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 「検出精度は目視以上だ」。赤外線技術を共同開発した神戸大学大学院工学研究科の阪上隆英教授はこう胸を張る。供用中の鋼橋で行った実証実験では、長さ4cmの比較的小さな亀裂の発見に成功。塗装のひび割れやさび汁が見られず、外観では分かりづらい亀裂も検出できた。

 技術のポイントとなるのが、溶接部に生じる温度の「ギャップ」だ。溶接部に亀裂があると、微小な空隙によって熱伝導が遮られ、デッキプレートとUリブの間で急な温度変化が生じる。開発したシステムは、赤外線カメラの測定結果から温度勾配が急激に変わる箇所を亀裂として抽出。撮影距離に応じて亀裂の長さを自動で算出する。

■ 温度の「ギャップ」で亀裂を検出
赤外線画像上の見た目と温度勾配の変化で亀裂かどうかを判定する(資料:本州四国連絡高速道路会社)
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