いよいよ今日、サッカー日本代表が「2018FIFAワールドカップ ロシア」で初戦のコロンビア戦を迎える。今回は本番直前の監督交代もあり、戦前の評価は高くないが、さすがに4年に1度のW杯だけあって注目度は高い。その証拠に2018年5月に日産スタジアム(神奈川県横浜市)で行われた壮行試合は約6万5000人もの観客で埋まった。

 実はその熱気は、約500km離れた大阪府吹田市の市立吹田サッカースタジアム(吹田スタジアム)にも届けられた。大阪府サッカー協会が、試合のパブリックビューイングを実施したのだ。それを裏方として技術サポートしたのが、パナソニックである。

 今回のパブリックビューイングの内容は、大スクリーンとプロジェクターを利用する一般的なものだった。しかし、そこにはビジネス面で大きな前進があった。大阪府サッカー協会は有料でイベントを開催し、「スタジアムエンターテインメント」を大きなビジネスに育てたいパナソニックにとっては事業化の第1弾だったのだ。

 日本は国際的なスポーツイベントの連続開催を控えている。2019年のラグビーワールドカップと、2020年の東京オリンピック・パラリンピック(オリパラ)である。こうしたビッグイベントの開催に伴い、パブリックビューイングなどスタジアムエンターテインメントの需要は確実に高まる。パナソニックの取り組みは、この先のスポーツビジネスの盛り上がりを見越したものなのである。

オリンピック開会式演出を技術サポート

 パナソニックが同事業に取り組むきっかけとなったのは、資本関係を持つプロサッカークラブでJ1に所属するガンバ大阪の幹部へのヒアリングだった。ガンバ大阪は、吹田スタジアムを運営する管理団体でもある。

 ヒアリングの結果、彼らが必要としていたものが、スタジアムの収容率(動員数)と稼働率の向上だった。パナソニックはその課題の解決に、同社が持つ技術を活かせると考えた。もちろん、ラグビーワールドカップや東京オリパラがもたらす新しいビジネスチャンスも見据えていた。

 同社は、2018年5月の事業化第1弾に向けて、2017年に実験的な取り組みを3回行ってきた。初回が、2017年3月11日に吹田スタジアムでのガンバ大阪の試合後に行われたプロジェクションマッピングである。スタジアムのフィールド全体にスクリーンシートを設置し、同社製の超高輝度レーザー光源プロジェクターと、瞬時に照射輝度を変えられるLED投光器を使い、フィールド全体をスクリーンにしてプロジェクションマッピングを実施した。

図1 2017年3月11日に実施した吹田スタジアムでのプロジェクションマッピング
(出所:パナソニック)
[画像のクリックで拡大表示]

 同社はこれまで、ドイツの強豪クラブであるFCバイエルン・ミュンヘンの試合のスタジアム演出や、複数のオリンピックで開会式の演出を技術サポートした経験がある。2017年3月に実施したプロジェクションマッピングでも、スクリーンから飛び出して見えるような映像の投影など「当社の高い技術力は示せた」(パナソニック コネクティッドソリューションズ社 メディアエンターテインメント事業部 事業企画部 事業戦略課 主幹の佐藤美千則氏)としている。

 一方で、この演出を見たサッカー好きのパナソニックの役員からは「もっと別のやり方があるのではないか」という意見も出た。例えば、前述の3Dに見える映像は、メインスタンドからはきれいに見えるが、一番熱狂的なサポーターがいるゴール裏からは見えにくいといった問題があった。佐藤氏自身、「技術一辺倒のアプローチでは不十分だと感じていた。もっとスタジアムに来てくれた観客に喜ばれる内容にできると思った」(同氏)という。

この先は有料会員の登録が必要です。有料会員(月額プラン)は初月無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら