問題48 地球温暖化対策の推進に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  1. (1) 建築物の省エネ化に取り組んでおり、床面積2000m2以上の新築建築物について、2030年度に省エネ基準の適合率100%を目指している。
  2. (2) 次世代自動車の普及・促進を進めており、世界最高レベルの燃費性能の実現や、次世代自動車導入の支援などを行っている。
  3. (3) 「都市の低炭素化の促進に関する法律」に基づいて市町村が作成する「低炭素まちづくり計画」は、平成28年度末時点で23都市において作成された。
  4. (4) TDM(Transportation Demand Management、交通需要マネジメント)による「エコ通勤」を推進している。
  5. (5) 年間で排出される下水の量は145億トンに上り、熱需要がありそうな地域に絞ったとしても約80万世帯分の冷暖房需要に相当する熱を利用できるポテンシャルがある。こうした背景から平成27年5月の下水道法の改正で、民間事業者が下水道の暗きょ部分に下水熱利用のための熱交換器を設置できるようにする規制緩和が行われた。

解答 (4)

解説 「TDM」ではなく、「モビリティーマネジメント」による「エコ通勤」を推進している。モビリティーマネジメントとは、自動車の過度な利用から公共交通や自転車を利用する方向へ、自発的な変化を促す交通政策。一方のTDM(Transportation Demand Management)とは、道路利用者の時間や経路、手段の変更、自動車の効率的な利用などによって交通需要量(交通行動)を調整する手法。

 2015年12月にフランスのパリで開催された国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)では、京都議定書に代わる温室効果ガス削減のための新たな国際枠組みとして、パリ協定が採択された。同協定を踏まえて、国土交通省も地球温暖化対策(緩和策)に取り組んでいる。地球温暖化対策を「環境行動計画」として14年3月に制定した。14~20年度の7年間を計画期間としており、推進すべき環境政策を「低炭素社会」、「自然共生社会」、「循環型社会」、「分野横断的な取り組み」の4分野と、地球温暖化対策の緩和策や適応策の推進、再生可能エネルギーの活用などの7つの柱に分けて示している。選択肢(4)は、地球温暖化対策の緩和策(下の表を参照)のうち、LRT(次世代型の路面電車)やBRT(バス高速輸送システム)の導入とともに、公共交通機関の利用の促進に含まれる。併せて、物流の効率化やモーダルシフトなどにも取り組んでいる。モーダルシフトとは、二酸化炭素の排出量の削減や物流の効率化に向け、トラックなどの自動車から環境負荷の小さい鉄道や内航海運などの大量輸送機関に転換すること。

●国土交通省が推進する地球温暖化対策の緩和策
項目 主な施策など
低炭素都市づくり
  • スマートウェルネス住宅・シティーをはじめとした低炭素都市づくりの実践
  • 「都市の低炭素化の促進に関する法律」に基づき、2016年度末時点で23都市が「低炭素まちづくり計画」を作成
環境対応車の開発・普及と最適な活用
  • 自動車の燃費を改善。2014年度に出荷されたガソリン乗用車の平均燃費値は、13年度から約4%向上
  • 環境対応車の普及と促進に向け、税制優遇措置を実施
  • エコドライブ管理システム(EMS)の導入など、エコドライブを推進
交通流対策など
  • ETC2.0を活用し、既存ネットワークの最適な利用を図るなど、道路を「賢く使う」
  • 道路空間の再配分などによって自転車の通行空間を整備
  • 予防保全型の維持管理に転換し、道路ストックを長寿命化
公共交通機関の利用の促進
  • LRTやBRTの導入に加えて乗り継ぎを改善。鉄道やバスなどの利便性を向上
  • 「環境的に持続可能な交通(EST)」の実現に取り組む地域に対して情報提供
  • モビリティーマネジメントによる「エコ通勤」を推進
物流の効率化など*
  • トラック単体の低燃費化を進め、輸送効率も向上
  • トラック輸送から鉄道や海運へのモーダルシフトを推進
鉄道や船舶、航空における低炭素化
  • 鉄道のエネルギー消費効率を向上
  • エコエアポートなど、航空における低炭素化を促進
住宅や建築物の省エネ性能の向上*
  • 建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)や建築環境総合性能評価システム(CASBEE)の充実や普及。「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」が2015年に公布
  • 長期にわたって使用可能な質の高い住宅を普及
下水道における省エネ対策*
  • 下水道革新的技術実証事業(B-DASHプロジェクト)で省エネ技術を普及
  • 官民連携によって下水熱の利用を推進
  • 下水汚泥を固形燃料化するとともに、下水汚泥の高温焼却によって一酸化二窒素を削減
建設機械の環境対策
  • 燃費性能が優れた建設機械を普及
温室効果ガスの吸収源対策*
  • 都市緑化などを推進。市町村が制定する「緑の基本計画」に基づき、公共施設や民有地を緑化
  • 炭素の固定に資する木造住宅を振興
(注)*の項目には、「低炭素都市づくり」などの施策と重複するものもある。国土交通省の「環境行動計画」や国土交通白書2017などを基に作成

 選択肢(1)と(2)は国土交通白書290ページの図中に、(3)は291ページに、(4)は292ページに、(5)は再生可能エネルギーの利用促進の一例として、298~299ページのコラムに記載されている。

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