組み合わせ最適化問題を高速に解ける量子コンピュータの分野で、世界初の商用化に成功したカナダのディーウェーブ・システムズ。その背中を大手ITベンダーや研究機関などの日本の4グループが独自技術で追い始めた。

 4陣営のうち独自の量子技術で競うのがNEC、そして国の「革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)」に採択されたNTTなどによる研究グループである。富士通と日立製作所の2社は、それぞれ既存の半導体回路を使った最適化問題の加速演算チップを開発し、量子計算に対抗する方法を取る。

 第2回は、組み合わせ最適化問題を解く量子コンピュータを開発する2陣営が描く逆転のシナリオと課題に迫る。

最適化問題に特化した主な量子コンピュータと専用コンピュータの商用化・開発状況
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 各社の量子コンピュータの性能を比べるうえで最も重要な指標が、搭載する量子ビット数と、量子ビット同士の結合状態だ。

 ディーウェーブとNEC、ImPACT採択チームで比較すると、3陣営が開発するマシンの量子ビット数はほぼ互角だ。ディーウェーブの現行商用機「D-Wave 2000Q」とImPACT採択チームが開発した技術実証機「LASOLV」が2048ビットを搭載し、並ぶ。さらにNECも2023年段階の第1号機で2000〜3000の量子ビットを実現する計画を打ち出している。

 ただし、量子ビット数の結合状態はD-Wave 2000Qが部分結合なのに対し、LASOLVが全結合を実現し、NECも全結合を計画するという違いがある。当初から全ビット結合を実現し、性能でD-Waveの背中を捉えることが日本勢の逆転シナリオだ。

量子ビット数と結合が解ける問題を決める

 量子コンピュータでは、量子ビット数と結合状態が解ける問題の大きさを決める。今回の3陣営はいずれも、組み合わせ最適化問題を解くために磁性体の格子結晶を模した「イジングモデル」を採用している。量子ビット数が増えるほど、組み合わせ演算ができる要素の数も増えると考えてよい。

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