米設計事務所のクラウズ・アーキテクチュア・オフィスが、米航空宇宙局(NASA)と共同で技術研究を進める火星有人探査基地の「マーズ・アイス・ホーム(MIH)」。日本人建築家の曽野正之氏らがプロジェクに加わっている。平均気温が氷点下43℃という火星の極寒の環境を生かして、3Dプリンターで氷で外壁をつくる(資料:NASA/Clouds AO/SEArch)
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 宇宙空間に進出する民間人が増加すれば、滞在期間も長期化する。地球圏外においても人間的な空間設計の思想が重要になる。米航空宇宙局(NASA)は2030年代に火星に人類を送るミッションを推進している。その橋頭保となる火星有人探査基地のコンセプト設計に日本人建築家の曽野正之氏が加わっている。2015年にNASAが実施した設計コンペでは、曽野氏がパートナーを務める米クラウズ・アーキテクチュア・オフィス(Clouds Architecture Office 以下、CAO)のグループが優勝した。コンペでは、平均気温が氷点下43℃という火星の極寒の環境を逆手に取って、水を材料に3Dプリンターで氷の外壁をつくる斬新なアイデアを提示した。現在、NASAと共同で研究を深めている曽野氏に、宇宙ビジネスに必要なイノベーションについて聞いた。(日経 xTECH)

曽野正之(その・まさゆき)
建築家、Clouds Architecture Office設立パートナー
兵庫県出身。神戸大学および米ワシントン大学で建築修士号を取得。米国・中東・中国における国立ミュージアムや住宅設計からパブリックアートのデザインに及ぶ多様な建築・アートに携わる。米ニューヨーク市による「スタテン・アイランド9・11 メモリアル国際コンペ」優勝作品の建設で2005 年度の米国建築家協会・公共建築賞などを受賞。ニューヨークのプラット・インスティテュート美術大学建築学部客員教授
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 米国では産官学が連携して、宇宙での建築に関するイノベーションが活発に行われています。特に宇宙空間や月面、火星などでの生活環境づくりでは建築家の知見が欠かせません。NASAは2030年代には火星に人を送り、現地での探査ミッションを計画しています。CAOは、15年9月にこのための住宅の設計コンペで優勝し、NASAで最も古いラングレー研究所と共同で氷による火星基地「マーズ・アイス・ホーム(MIH)」の研究を進めています。

CAOが2015年の設計コンペで提示した火星有人探査基地の断面図。NASAがコンペで求めた要件は、火星に存在する材料を生かし、4人が1年間暮らせる約90m2の住居を、3Dプリンターを使って火星に建設すること。曽野氏らの建築家グループ(CAOとSEArchで構成)は、世界から集まった165件のアイデアの中から1位に選ばれた(資料:Clouds AO/SEArch)
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 NASAは10年から毎年、火星プロジェクトの一環として、人間の生存に不可欠な要素である、「水、食料、酸素の生成とそのリサイクル」をどうやって確保するかというテーマで技術コンペを開催しています。NASAとハワイ大学が共同で、13年からは火星での生活を模擬する実験を開始しました。16年にはハワイ島に建設したドーム型火星模擬体験施設で、6人の科学者チームが1年にわたって外界と隔絶された生活を送っています。

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