2018年11月に高精度測位サービスの本格運用がはじまる「みちびき」(準天頂衛星)。現在は、さまざまな分野で実証実験や研究開発が進んでいる。ここでは目立つ応用分野としてクルマ、農業、スポーツにおける取り組みを見ていく。

自動運転支える重要技術に

 最近ぐっと話題が増えてきた自動運転。その実現には高精度の測位が不可欠だ。みちびきの高精度測位は、それを実現する技術の一つの選択肢として期待されている。

 例えば三菱電機は、みちびきのセンチメータ級測位補強サービス(CLAS:Centimeter Level Augmentation Service)を測位に用いた自動運転車「xAUTO」の実証実験を、山陽自動車道の一部区間で進めている。

三菱電機の自動運転車「xAUTO」の山陽自動車道における実験の様子
(写真提供:三菱電機)
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 xAUTOは、前方監視カメラや周辺監視カメラ、ミリ波レーダー、ソナーといった認知・判断・操作に関するセンサー類による自律型の自動走行と、衛星システムをはじめとするインフラ型の自動走行によって、自動運転を実現している。良好な環境での自動運転は自律型で対応し、路面が見えにくいような悪い環境での自動運転はインフラ型で対応するといった形で両者を組み合わせて使う。

 CLASは、インフラ型の自動走行で使う。「自車位置はもちろん、車線上の場所まで把握できる」(三菱電機 自動車機器開発センターの赤津 慎二 副センター長兼ADAS技術部長)。CLASは、GPSの補強情報が衛星から送られてくるためネットワーク設備が不要となる。ただし「みちびきの補強情報は、地上のネットワーク経由で配信することも可能だ。現時点でそうした配信サービスを提供する事業者は存在しないが、冗長化などの観点から、補強情報を衛星経由とネットワーク経由の両方で車に送り、車の側でセレクトするのがよいと考えている」(三菱電機 高精度測位事業推進部の福吉 清岳次長)。

 ただし高精度測位だけで自動運転は成り立たない。自車が道路上のどこを走っているか、道路はどのような状態にあるかといった情報が必要だ。また通行止めになっていれば迂回が必要だし、信号が赤なら止まらなくてはならない。

 そこで三菱電機では、みちびきのCLASに対応する受信機「高精度測位端末(高精度ロケータ)」の準備を進め、さらに「ダイナミックマップ」と呼ぶ、道路に関する静的、准静的、准動的、動的な情報を組み込んだ、高精度のデジタル地図仕組みの整備にも注力している。

 2018年1月29日から2月9日には、北海道でみちびきの測位を用いた自動運転の実証実験を行った。高精度の自車位置と高精度の地図を活用した自動運転技術を開発することが目的で、これらを用いた自動走行制御や雪道での走行を確認している。

三菱電機の「高精度測位端末(高精度ロケータ)」
(写真提供:三菱電機)
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 自動運転バスの実証実験に取り組み始めた企業もある。先進モビリティとSBドライブは内閣府から受託して、2017年10月31日から12月13日まで、沖縄県宜野湾市と北中城村で測位にみちびきを用いた自動運転バスの実証実験を行っている。

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