欧米を中心に民間企業の宇宙ビジネスへの進出が加速していることは、これまでにも述べてきた(関連記事「劇的なコスト低減で商機 宇宙、日本にもまだチャンス」 関連記事「ロケットコスト数十分の1で衛星サービス市場『130兆円』に」関連記事「将来は衛星1機300ドル、『安い』が変える宇宙産業」関連記事「宇宙探査も民間主導、日本も5年で1000億円投資」)。日本企業もこの流れに乗り遅れてはいけない。

1000億円を5年で投下

 米国では、リスクが高い投資を行うリスクマネーの供給が盛んである。宇宙ビジネスという事業においてもその流れは変わらない。ベンチャーキャピタル(VC)やエンジェル投資家などが宇宙ビジネスに投資している。さらに、米グーグル(Google)や米フェイスブック(Facebook)といった膨大な資金力を持つIT企業なども投資を行い、買収を通じて宇宙ビジネスへの参画を果たしている。

 では、日本では宇宙ビジネスへの資金の流れはどうなっているだろうか。前回の記事で記載したとおり、内閣府・経済産業省が発表した宇宙ビジネス投資マッチング・プラットフォーム「S-Matching」の下、官民合わせて1000億円のリスクマネーを5年間で供給するとしている。

宇宙ビジネス投資マッチング・プラットフォーム「S-maching」のWebサイト。サイトは無料で利用できる。2018年6月15日時点で、宇宙ビジネス起業家が56件、宇宙ビジネス投資家が53件、アイデア投稿数が5件という状況だった
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 ただし、宇宙ビジネスの本場である米国では、年間で約2000億円ものリスクマネーを供給している。年換算で比較すれば、約10倍の差だ。

日本と米国(US)とのリスクマネーの比較(グラフ:各種資料を基にベイカレント・コンサルティングが作成)
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 一方で、日本に資金がないわけではない。問題は、宇宙ビジネスに投資する投資家が少ないことにある。あくまで参考だが、財務省の法人企業統計調査によると日本における大企業の内部留保の額は47兆6085億円(2016年度)にも上る。この資金の1%でも宇宙ビジネスに供給されれば、約4000億円の資金が流入することになるのだ。

 このような状況を考慮すると、日本では大企業が宇宙ビジネスに目を向け、宇宙ビジネスを「ニューフロンティア」と位置づけて真剣に取り組むようになることが重要ではないかと、筆者は考えている。

 「宇宙は本当にビジネスになるのか?」――当然、株主などのステークホルダーからはそのような意見が出てくるだろう。しかし、宇宙には“金のなる木”がいくらでも存在する。例えば、太陽系には、地球上では希少で価値が高いレアアースを多く含むとみられる小惑星もある。また、月には常に太陽に面している場所があり、エネルギー創出の場として注目されている。つまり、発想次第でなんとでもなる。そして、そのリスクは大企業が積極的に投資するほど軽減されるのではないだろうか。

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