「New Space(ニュースペース)」と呼ばれる、民間企業による宇宙ビジネスのイノベーションが活発化している。世界で先頭を走るのは米国だ。

 宇宙ビジネスといえばこれまで、政府から民間企業が委託を受け、衛星を開発・製造・運用したり、ロケットを打ち上げたりするというビジネスモデルが一般的だった。New Space時代はそれが大きく変わる。注目すべきポイントは、宇宙ビジネスをリードするプレーヤーが変化し、新しいサービスが登場したり、宇宙以外の市場でよく見られるビジネスモデルが、この市場でも近年多く見られるようになってきたりしたことだ。

 例えば、人工衛星が取得する地球に関するデータ(衛星データ)を活用して顧客が有する課題を解決するサービスを、米Facebook(フェイスブック)や米SpaceKnow(スペースノウ)など多くの企業が開発している。こうしたサービスを実現するための人工衛星やロケットといった“ハードウエア”には小型化や低価格化の波が押し寄せ、パソコンなど電子機器の水平分業を支えるOEM(相手先ブランドの形態での生産)と同様のビジネスモデルが登場している。

 小型衛星を大量生産する米OneWeb(ワンウェブ)や、米Tesla(テスラ)の共同創業者の一人であるイーロン・マスク氏が設立した米SpaceX(スペースエックス)によるロケットの価格破壊を実現するビジネスモデルも、New Space時代の象徴事例と言える。

 最初に、衛星データの活用について具体的に見ていこう。

中国経済の実態を宇宙から把握

 衛星データを活用するビジネスのすそ野は広い。金融、建設、農業、水産、林業、防衛、スポーツ、エンターテイメントなど多くの産業で活用される可能性が高い。

 先ほど、この分野の代表企業として紹介したSpaceKnowは、人工衛星が取得したリモートセンシング画像を活用して、様々な領域でソリューションを提供している。筆者が特に注目しているのは、「SMI(the China Satellite Manufacturing Index)」と呼ばれる中国経済の実態を表す新しい経済指標を開発し、その指標などの情報を金融機関や投資家へ販売している点だ。

 リモートセンシング画像を元に中国の6000程度の工業地帯について、約14年間分の合計22億枚におよぶ衛星画像から独自のアルゴリズムを活用して、建造物の経時変化や工場の在庫状況などを判別し、SMIを割り出しているという。

 SMIに最も強い関心を寄せているのは、ヘッジファンドやプライベートエクイティーといった投資会社など。これらの企業は特定の工場など経済活動の拠点についての詳細なデータを必要としているが、中国政府が公表するデータに対する不信感があるため、このような衛星データを元にした分析に対するニーズが高いとしている。

SpaceKnowが人工衛星のリモートセンシング画像から追跡している対象例
(出典:SpaceKnow )
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