パナソニックの創業100周年を記念するイベントで、「100年企業のイノベーション」と題するパネルディスカッションが行われた。同社が2018年10月30日に本格始動を宣言した「Home X」に関してけん引役となっているパナソニック ビジネスイノベーション本部長の馬場渉氏も参加するとあって、会場には多くの聴講者が集まった。

パネルディスカッションの様子
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 ディスカッションに先立って講演した、同社 専務執行役員 チーフ・テクノロジー・オフィサーの宮部 義幸氏は、大量生産大量消費のSociety 3.0の時代から情報化社会のSociety 4.0への移行に伴って、製造業であるパナソニックがGAFA(米グーグル、米アマゾン・ドット・コム、米フェイスブック、米アップル)に敗北したとした。その間、同社にできたことは不採算事業を徹底気に取り除く“外科手術”で業績を回復するだけだったとし、「もう外科手術は限界、取り除く“臓器”がない事業もある。これからは元気なところをより元気にしていく“漢方医”的な手法を取り入れないと、次の時代に役立つ会社にはなれない」とした。

 こうした発想をパナソニックが持つようになった一因が、米シリコンバレーの組織「Panasonic β」でデザイン思考の導入などに携わる馬場氏である。「成長、イノベーションに効く治療法を考えると、いわゆる“西洋医学”の作用・副作用も分かった上で“東洋医学”にたどり着く。パナソニックでも教科書的、レシピ通りにやっているがこの1年で手応えを感じている」とした。

 これまでのパナソニックは、「水道哲学」に基づき、電化製品を普及させることで豊かな暮らしの実現を目指してきた。一方、社会ではテクノロジーの進展で生活は豊かにならないと感じる傾向が強まっている。馬場氏は「こういった議論は日本だけでなく米国、シリコンバレーでも盛んになっている。今、社会全体がイノベーションのジレンマに陥っている。つまり、社会システムや生活水準の向上に向けてまじめに取り組むほど状況が悪化する。今までの前半のアプローチは正しかったが、成熟した世界でそのままのアプローチを取り続けると悪化する。やり方を見直し、変える必要がある」とし、「自分はテクノロジー業界に身を置くが実は“ウェット”が好きであり、そうした世界を取り戻したい」と話した。

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