ここ数年のAI(人工知能)ブームに、パナソニックは独自のアプローチで攻め込んでいる。パナソニックにとって新領域となる「デジタルネイティブな事業を作る」という明確なミッションを帯びた本社組織、ビジネスイノベーション本部。そのなかに115人の研究者を抱える「AIソリューションセンター」がある。ここをAI研究の中核に位置づけている。

 AIソリューションセンターのメンバーは、過去に研究開発部門に属していた社員が80%ほどを占める。残り20%は4つの社内カンパニーなどから集めた技術者だ。

 それとは別に、2017年10月にパナソニックが買収したAIベンチャーの米アリモ(Arimo)の技術者も合流。世界トップレベルのデータ分析力を持つアリモのエンジニアが加わる。外部人材も引き込み、「新事業を最短の方法で市場に届ける」試みを進めている。

AI人脈が豊富な大学教授が社内にいる

 さらにAIの技術アドバイザーを大学から迎え入れた。立命館大学情報理工学部の谷口忠大教授である。谷口氏は現役の大学教授だが、ビジネスイノベーション本部の客員総括主幹技師に就任した。大学と産業界の壁を越えた人材交流を推進する「クロスアポイントメント制度」を日本で初めて民間企業で採用した例としても注目を集めている。

立命館大学情報理工学部の谷口忠大教授は、パナソニックビジネスイノベーション本部の客員総括主幹技師でもある。産学の「クロスアポイントメント制度」を適用した最初の例
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 谷口氏がパナソニックに出勤するのは週1回。しかし、「私の知識や人脈といった無形財産が20%に減るわけではない」(谷口氏)。

 AIの世界はとにかく動きが速い。谷口氏が持つ最先端の学会やAIコミュニティーとの人脈が生きる機会は多い。「AIに限った話ではないが、人が動かないと情報が動かない。AIで後れを取らないため、私自身はパナソニックの社員として秘密保持契約を結びつつ、どのカンパニーにもいつでもアドバイスができる立場になれた。これはクロスアポイントメント制度の大きなメリットだ」。

 パナソニックがほかの大学などと共同研究をするにしても、「この先生はいいよ、あの先生は専門がちょっと違うな、と助言できる。私自身がパナソニックのプロジェクトに参画するときは、私は社員なので面倒な手続きや契約が要らない。すぐに動き出せる」。

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