「企業の活動はものづくりから体験づくりへと変わりつつある。そのためには継続的に顧客とつながり、一緒にものやサービスを作ることが不可欠。社内向きだった意識を社外に向けていかなければならない」

 Game Changer Catapult代表の深田昌則氏(パナソニック アプライアンス社 事業開発センター)はこうした考えの下、映像と音楽、デジタルインタラクティブの展示会「South by Southwest 2018(SXSW 2018)」(2018年3月9~18日、米国テキサス州オースティン)に出展した(関連記事)。SXSWへの出展は2017年に続き2回目。「2017年に出展した際、評判が良かった。世の中の“共感”を得ることが大切だと分かった」(深田氏)。

Game Changer Catapult代表の深田昌則氏
[画像のクリックで拡大表示]

 Game Changer Catapultは、パナソニックで家電を扱うアプライアンス社が新規事業の創出を目的に設置した組織だ。各プロジェクトは、4~5人の少人数グループで部活のように行われているという。効率重視の“本業”でも成果を出して周囲の理解を得つつ取り組む、企業内スタートアップ活動だ。こうした活動の結果の1つとして、離れて暮らす高齢者と家族間のコミュニケーションを支援する卵形照明端末「Famileel」が展示されていた。

離れて暮らす高齢者と家族間のコミュニケーションを支援する卵形照明端末「Famileel」
[画像のクリックで拡大表示]

 テレビの傍らに置くことを想定しており、人感センサー(赤外線センサー)やカメラ、マイクを搭載。人がそばにいることを検知すると、相手側の端末が光って無事を知らせる。さらに端末のボタンを押すと相手側の端末が青く光って「今、電話OK?」といった意思表示ができ、互いにボタンを押すことでテレビ電話ができるというコンセプトだ。

 開発の中心となった森川悠氏の“本業”は食洗機の開発。祖母と母のコミュニケーションを円滑にしたいという思いから、Game Changer Catapultに立候補した。“製品ありき”の本業に対して、自分の作りたいものを一から作る、貴重な経験になっている。勤務時間中の取り組みも認められているが、現実にはなかなかできず、業務終了後や休日に作業を進めているという。

 ただし、深田氏が考えるSXSWの役割は、単に開発品を展示するだけの場ではない。特に2018年は3つのことを狙った。

 1つは「会社を変えたい」という社内の思いに応える場にすること。社内にはGame Changer Catapultの他に、若年世代との協創に取り組む「100BANCH」や社内の若手デザイナー集団「FUTURE LIFE FACTORY」などがある。こうしたグループが出展できるようにした。

 会社を変えたいという思いの裏には、パナソニックが企業として転換点に立っているという一種の危機感があると、深田氏は指摘する。「20世紀型企業の成功は効率的に規模を拡大することだった。21世紀型企業の成功は、米アマゾン・ドット・コム(Amazon.com)や米グーグル(Google)のように、社会の変化に対応すること。新しいものにチャレンジすることが必要だ。そのためのきっかけとして、今、付き合いがある人より遠くにいる人、物理的に離れたところにいる人とコミュニケーションを取ることが重要だと考えている。“世界に出会える場”としてSXSWに期待した」(深田氏)。

この先は有料会員の登録が必要です。有料会員(月額プラン)は登録月無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら