これまで見てきた通り、設計事務所各社がそれぞれの方法で時短に取り組んでいる。所員に「時間の使い方」を意識させる一方、ITを利用して効率化を図ることは欠かせない。日建設計やプランテック総合計画事務所など、注目組織に学ぶ時短のポイントは大きく3つ。「時間の有効利用」「業務の効率化」「情報の共有」だ。経営者層やマネジャークラスの本気度が問われる。

 国が推進する働き方改革を受け、設計の質を保ちながら、いかに労働時間を短縮するかという課題が、経営者や管理職に突きつけられている。設計を担う中心は所員であり、プレイヤーとともに意識改革を進めることが欠かせない。労働環境を良くしていかないと、優秀な学生は今後、建築界に入ってきてくれないだろう。

 この特集で紹介した日建設計、プランテック総合計画事務所、NAP建築設計事務所の事例を基に、仕事の質を落とさず、時短を図る方法をまとめてみた。ポイントは大きく3つ。「時間の有効利用」「業務の効率化」「情報の共有」だ〔図1〕。もちろん、個々の設計者の能力アップも欠かせない。

〔図1〕まずは時間の使い方を計画
特集記事で紹介した日建設計やプランテック総合計画事務所、NAP建築設計事務所などの例を基に、労働時間の短縮を図る手立てをまとめた。まずは全社を挙げて、設計者が時間をどう使うか計画することが重要(資料:取材を基に日経アーキテクチュアが作成)
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 時間の有効利用には、所員に時間を意識させることが重要だ。日建設計が導入した「時間デザイン」は、一人ひとりに時間の使い方を計画することを求める。そのうえで上司とのコミュニケーションを通して共有し、終わったら振り返る。

 時間デザインを補完するのがマトリックス型組織だ〔図2〕。複数の設計部を設計グループとして束ね、全グループを串刺しする形で8つの分野を設けた。設計グループ内で人員を調整し、部を超えてプロジェクトごとに所員をアサインする。1つの部だけでは人のやりくりに限界があるので、調整できる範囲を広げた格好だ。

〔図2〕マトリックス型組織で人員調整
マトリックス型組織のイメージ。分野ごとの責任者がプロジェクトの質を管理し、それとは別体系の設計グループごとに人員を管理する(資料:日建設計)
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 業務の効率化では、ICT(情報通信技術)の活用を検討すべきだ。プランテック総合計画事務所が導入するTV会議システム、NAP建築設計事務所のVRを利用した設計検討が代表例だ。

 プランテックでは、東京本社の会議スペースにTV会議システムを備える。壁に投影した資料で情報共有しながら、国内外の社内拠点とTV会議を通して打ち合わせできる。音声や映像のタイムラグはなく、打ち合わせのための移動時間を大幅に削減できる。

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