東京のアトリエ系設計事務所に約5年勤めた佐々木翔氏は、生まれ故郷である長崎県島原市に戻り、父の主宰する設計事務所に入った。「東京が決して豊かな環境ではない」と感じたのがきっかけだ。地方都市は、インターネットや物流の発達で、大都市との距離を感じさせない。豊かな環境のなかで設計に没頭するのも1つの選択肢だ。

 「実家のある島原市に設計事務所を設立して約30年。これまで築いてきた建て主との関係を、建て主に安心してもらいながら息子の代につなげていきたい」。INTERMEDIA(インターメディア)の佐々木信明代表はこう切り出す。

 長男の翔氏は、2014年に約5年勤めたSUEP.(東京都世田谷区)を退職し、15年に取締役に就いた。現在、2人のほかに所員は3人。翔氏の付き合いで、多くの学生がオープンデスクやアルバイトに訪れる〔写真1〕。

〔写真1〕親子が二人三脚で臨む
インターメディアの佐々木信明代表(手前左手)と長男の翔取締役(同右手)。丸4年勤めた泉竜斗氏(2列目左手)は18年3月に退社した。最後列はオープンデスクの3人。地元出身者を中心に多くの学生が訪れる(写真:日経アーキテクチュア)
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 息子のデザインを、ベテランの父の技術力で支援する設計体制は既に多くの結果を生んでいる。18年2月には島原市内に地域特有の湧き水を利用した住宅が完成。同3月には長崎大学医学部ゲストハウスが長崎市内に竣工した。それぞれ3社、2社のプロポーザルで選ばれた。長崎大学では10年ほど前に信明代表が10社のプロポで会議施設の設計を受注しており、その実績が生きた。

 「SUEP.時代には50社、100社といったプロポで鍛えられた。参加者の顔が見え、競合相手も少ないプロポならば勝つスキルは身に付けている」と翔氏。信明代表は「息子の遂行力があるからこそ、発注者に自信を持って『やります』と言える」と話す。

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