建設業界に新ビジネスの芽を見いだすベンチャー企業が増えている。ITを武器に建設業界に参入したベンチャー企業4社のトップによる座談会の後編。縮小が危惧されるこの業界の伸びしろについて語り合ってもらった。

前回から読む。

左からソラビトの青木隆幸社長、オクトの稲田武夫社長、シェルフィーの呂俊輝社長、トラスの久保田修司社長(写真:都築 雅人)
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建設業界は先を見据えた効率改善のためのIT投資が不可欠です。けれども、社内にITインフラを運用をできる人材がいない会社は多い。どうすれば普及が進むのでしょうか。

稲田武夫 私たちが提供しているサービス(スマホによる工事現場の管理)を通じて分かったのは、現場作業員の方が意識が高いということです。彼らは顧客と接する機会が多く、情報伝達のために「ITインフラを使わなければいけない」という感覚を持っている。結局、経営者が今後の会社運営でITをどのように活用する考えかに議論は尽きます。IT機器を導入して作業が楽になるならば、年齢に関係なく使ってもらえるはずです。

 ただ、これは住宅の施工会社に関する話で、非住宅の専門工事会社はIT導入に時間がかかるかもしれません。住宅は顧客側の年齢層がどんどん若くなるので、変化に対応する動機がある。一方、専門工事会社は先々の工事が決まっているため、仕事があるうちは将来に備えた投資をしようという考えになりにくい。

現場管理をスマホで解決
オクト 稲田武夫社長(写真:都築 雅人)
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 スマートフォンやタブレットの画面で現場情報を一元管理するアプリ「AND PAD(アンドパッド)」を提供。創業は2012年9月。サービスを利用する会社は800社を超える。工務店に限らず、大手の建設会社なども導入している。稲田武夫社長は「建材メーカーや不動産販売会社の利用も増えてきた」と話す。アンドパッドは建設現場で働く関係者同士が、情報をスムーズにやり取りできるインフラとして機能する。図面や建材仕様書などの資料データはクラウド上に保存され、登録した関係者なら誰でも、好きな場所で情報を確認できる。

 現場の作業進捗をスマホのカメラで撮影して、次の工程を担当する工事関係者に引き継ぐ機能も好評。作業内容によって写真を分類して保存するため、現在までの工事の進捗や、現場の状況を随時確認できる。サービス利用料は初期登録が10万円。年間契約で100人分の登録枠が使えるビジネスプランが月額6万円。登録枠30人分のライトプランが月額1万8000円となる。

呂俊輝 建設業界でITの導入が遅いのは、IT業界側にも責任があるのではないでしょうか。営業で訪問すると「昔、似ているシステムを使ったよ」とよく言われます。建設業界も効率化を求めてIT導入を試している。ただ、導入した結果、うまく定着せず、「もう使いたくない」と感じてしまう。国土交通省も、土木領域などでi-Construction(アイ・コンストラクション)と呼ぶ取り組みを始めて業界の目線合わせをしています。ITが参入する土壌を整えてくれているのです。

 その期待に今までのIT業界は応えられなかった。その理由はIT業界が仕事をBtoB(法人向け)とBtoC(消費者向け)に分けて考える点にあります。BtoBは営業力で販売します。一方、BtoCは利用者の離脱率を計測するなど、UX(ユーザー体験)に注力する。建設業界へのIT導入をBtoBで考えたことが誤りだった。

 BtoCよりもっと慎重に使いやすいシステムを考えるべきでした。IT導入に対して建設業界が前向きなのは間違いありません。IT業界も「経営者が言うから導入する」のではなく、「現場が勝手に使いたい」というサービスを提供しなければならないでしょう。

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