国土交通省は2016年度からのi-Constructionの展開に向け、矢継ぎ早に施策を打ち出した。16年3月30日、ドローンを用いた空中写真測量で土工事の出来形管理や検査ができるように技術基準を整備。同年4月以降、全国で1600件以上の直轄工事を、ICT建機などを使って土工事を行う「ICT土工」の対象とし、整備した基準に基づいて約600件の工事を実施した(17年6月26日時点。以下も同じ)。

 ただし、記事「異業種も続々参入、『i-Con』に沸く土木のドローン市場」(5月8日掲載)で取り上げた通り、短期間で作成した基準には実態と合わない部分もあった。そこで国交省は基準を検証し、1年後の17年3月には基準の改定を発表。同省がi-Constructionの普及に本気で取り組んでいる姿勢がうかがえる出来事だった。

 具体的に何が変わったのか。例えば、「空中写真測量(無人航空機)を用いた出来形管理要領(土工編)(案)」。ドローンで空中写真測量をする際に考慮する「ラップ率」の規定を緩和し、作業時間を短縮できるようにしたのが主要な変更点だ。同省は道路工事で延長1km、幅60mを計測する場合に約2時間かかっていた作業が約70分で済むとしている。

■ 「ラップ率」や標定点の規定を緩和
国土交通省と大林組の資料を基に日経コンストラクションが作成。写真の人物は大林組の杉浦伸哉情報技術推進課長(写真:日経コンストラクション)
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 なぜ、ラップ率を緩和すると作業時間を減らせるのか。ドローンによる写真測量の流れと併せて、改めておさらいしておこう。

 ドローンによる写真測量では、写真から3次元点群データを生成する際「SfM(Structure from Motion)」と呼ぶ手法を用いる。計測対象を様々な位置・角度から写した画像を大量に用意し、写真同士の対応関係を専用ソフトウエアで解析すると、3次元点群データが得られる。

 精度の良いデータを得るには、コンピューターが写真同士の対応関係を見つけやすいように、なるべく対象物が重複するように撮影する。同一の撮影コースで隣り合う写真の重複度は「オーバーラップ率」、隣接するコースの写真との重複度は「サイドラップ率」と呼ぶ。

 ラップ率を上げると確かに精度は上がるが、ドローンの飛行速度を落として撮影しなければならず、計測に時間がかかる。写真の枚数も増えるので、データ処理に要する時間も増大する。

 国交省はオーバーラップ率を90%、サイドラップ率を60%と規定していたが、緩和を求める声を受けて検証を実施。精度に問題がないと確認したうえで、17年3月の改定でオーバーラップ率を80%に緩めた。

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