建設分野で急速に存在感を増してきたレーザードローン。国土交通省も普及を後押しする。特に熱心なのが水管理・国土保全局だ。2017年初めに、「陸上・水中レーザードローン」の開発をぶち上げた。開発するのは(1)パスコとアミューズワンセルフ(大阪市)、(2)アジア航測とルーチェサーチ、(3)河川情報センターとルーチェサーチ、朝日航洋の3チームだ。

 国交省が示した仕様に従い、半年から1年程度で実用化するのが目標。同省が購入し、職員自ら運用する利用法を想定する。17年4月には京都府の由良川で現場実証を実施した。

■ 国交省が陸上・水中レーザードローンに求める主な仕様
測定条件 高度30~50mで航空レーザー測量を実施。3次元点群データを取得する。グリーンレーザーを搭載し、水面下も測量可能にする。ドローンはマルチコプタータイプ。カメラも搭載する
飛行方式 GNSS/IMUで自動自律飛行
飛行時間 河川縦断方向に長距離の測量が可能。1回1時間以上の飛行が目標
重量 バッテリーを除き、一式5kg以下。持ち運び可能
価格 1000万円台が目標
測定レートなど 測定レートは毎秒数万点以上、走査数は毎秒20回以上。視野角は90度以上。測距精度10~20mm。ファーストパルスとラストパルスを取得できる
GNSS 2周波で搬送波位相観測、取得間隔1秒以下
IMU 精度はロール/ピッチ±0.025度以下、ヨーは±0.1度以下。取得間隔0.005秒以下。対空標識なしに世界測地系の地図を作成
精度 裸地における水平精度、高さ精度ともに±5cm以内
レーザーの安全基準 近赤色波長はJIS C 6802のクラス1、緑色波長はクラス2以下を満たす
データの出力 LAS形式で出力できること
(資料:国土交通省)

■ 由良川の3次元点群データ
高度50mからレーザースキャナーで計測した(資料:パスコ)
[画像のクリックで拡大表示]

国土交通省が17年4月に京都府の由良川で実施した「陸上・水中レーザードローン」の現場実証の様子。パスコとアミューズワンセルフのグループが、陸上の地形を計測できるレーザードローンを持ち込んだ。建設コンサルタント会社などの技術者が100人ほど集まった(写真:日経コンストラクション)
[画像のクリックで拡大表示]

 同省が河川管理にレーザードローンを導入しようともくろむ理由は、現状の測量方法だと綿密な管理ができないからだ。音響測深機などを用いて実施している河川の定期縦横断測量では、200m間隔の断面形状が5年に1度のサイクルで得られるにすぎない。これでは堤防の弱点を把握しきれないうえ、経費がかさむので測量の頻度も上げられなかった。

 「ようやく、3次元で河川を管理する時代が来た」(水管理・国土保全局の佐藤寿延河川保全企画室長)。

 陸上のレーザー計測については、いずれの開発チームもめどが立っている。機体の開発を担うアミューズワンセルフとルーチェサーチは、既にレーザードローンを保有している。

 パスコ河川事業推進室の森田真一室長は、「点群の密度など、河川管理に必要なデータの仕様をアミューズワンセルフに伝えて調整中だ」と言う。アミューズワンセルフの冨井隆春CTOは、「開発済みの製品をベースに、1年以内をめどに軽量化などを進める」とする。

 アジア航測総合研究所の織田和夫所長は、「センサーと機体の開発はルーチェサーチに任せ、我々は精度の検証などを担当する。2017年夏の早い段階が目標だ」と語る。ルーチェサーチの渡辺豊社長は、「軽く小さいカーボン製の機体を作り終えた。レーシングカーの設計経験などを持つ社員が担当した。リーグルのminiVUX-1UAVを積む」と説明する。

この先は有料会員の登録が必要です。今なら有料会員(月額プラン)が12月末まで無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら